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グローバル・エクイティ・オブザーバー
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2025年7月25日

楽観的なコンセンサスに注意する

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2025年7月25日

楽観的なコンセンサスに注意する


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楽観的なコンセンサスに注意する

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2025年7月25日

 
 

ファンダメンタルズに基づく株式投資は、不確実性を扱う、言わば芸術のようなものです。私たちのような長期投資家にとっては、投資を検討している企業の利益の推移について、少なくとも今後10年間の見通しを立てる必要があります。

 
 
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未来は決して明確ではなく、楽観的なコンセンサスには非常に高い代償を払うことになる」 — ウォーレン・バフェット
 
 
 

成長の見通しを分析するとともに、その競争優位性(堀:モート)の強さを理解し、収益の持続可能性に対する潜在的なリスク(自己要因(資本配分の失敗など)や外部要因(絶えず変化する競争環境や規制環境など)によるもの)を評価することも含まれます。これらのリスクは一部しか定量化できないため、これは正確な科学というよりも芸術のようなものです。他のリスクは、確率を付与できない「ナイトの不確実性」の領域に属します。1

不確実な未来がもたらすリスクを軽減するため、投資家は主に2つの手段を有しています。1つ目は、利益の見通しがより確かな企業を探すことです。私たちは、安定した複利的な利益成長をもたらす要素として、売上の継続力と価格決定力を高く評価しています。2つ目は、ある程度利益が悪化しても投資収益がプラスになる可能性を残すバリュエーションの資産を探すことです。つまり、バリュエーションに慎重になることです。私たちはこの2つの手段を併用し、利益とバリュエーションの両方に「二重に厳しく」こだわります。

質の高い株式ポートフォリオを構築する際には、保有する可能性のあるすべての株式の利益率の持続可能性と利益成長の堅牢性について、最も多くの時間を議論に費やしています。予測可能な利益の複利成長は大変な事であり、現在の勝者や時価総額の大きい銘柄に固執するだけでは近道になりません。実際、20年前(2004年12月)のS&P500指数の上位10銘柄のうち、3社は期間中(2024年12月まで)にEPS成長率がマイナス(!)を記録し、 2社は実質的な合併を経験し、現在独立した上場企業ではなくなっています。さらに4社はEPSの年平均成長率(CAGR)が1~6%という低い水準に留まり、唯一1社(私たちのグローバルポートフォリオで最大の保有銘柄である米国のソフトウェア企業)が非常に立派な二桁のEPS の年平均成長率(約12.6%)を達成しています。2

確かに、過去20年間は数多くの課題に直面しました — グローバル金融危機、欧州の国家債務不履行、世界的なパンデミックなど、ほんの一例です。しかし、企業セクター全体としては、これは比較的良い時期でした。企業の税引き前営業利益率は、生産性の向上と国際サプライチェーンの恩恵を受けて、2004年水準から約40%拡大(MSCIワールド指数で約12%から約17%)し、一方、世界の実質的な法人税率は同じ期間に約3分の1(約30%から約20%へ)低下しました。3 これらの2つの強力な構造的追い風にもかかわらず、MSCIワールド指数は20年間で平均EPS年成長率+4.6%という結果に留まりました。4

では、現在の状況はどうでしょうか?MSCIワールド指数のEPS成長率のコンセンサス予想は2025年に+11%、2026年に+13%で、市場の長期的なEPS成長率5%と比べると、楽観的すぎるように思えます。5 歴史は繰り返さないが韻を踏む、と言われます。

名目GDPの成長を考慮すると、売上高の成長率は約5%にすぎないと予想されます。市場のEPS成長のうち、残りの大部分は利益率の拡大によってもたらされることになります。しかし、すでに利益率が歴史的に高水準にある中で、どこからさらに拡大する余地があるのか、直感的に理解するのは容易ではありません。また、米国政府が進めるグローバル貿易の均衡政策(米国からの輸出を増やす、米国の輸入を減らす)の影響も、企業の利益率にはまだ反映されていません。この政策は、企業セクターのかなりの部分においてサプライチェーンの再構築を必要とするものです。

では、バリュエーションに安心感はあるでしょうか?1-3月期の動揺の後、世界の株式市場は急速に回復し、2025年5月末時点で12か月先予想利益に基づくPERは19.1倍と、過去20年の最高値に近づいています。6 この水準を大きく上回ったのはコロナ期(約21.5倍)だけです。しかし、当時は(欧米経済が一部閉鎖されていたため)景気循環的に押し下げられた利益に基づいたPER水準となっていました。

要するに、市場は「確信」を織り込んだ価格付けとなっており、現在の楽観的な利益成長見通しに障害が生じた場合、株価下落を緩和する緩衝余地がほとんどないと言い換えることができるでしょう。

ウォーレン・バフェット氏が鋭く指摘したように、「未来は決して明確ではなく、楽観的なコンセンサスには非常に高い代償を払うことになる」のです。私たちは、グローバル株式市場が私たちのお客様の長期的な資産形成の優れた源泉となる可能性を依然として信じています。しかし、現在の市場には、楽観的な収益成長予想に基づいた「確信」が多く織り込まれているように思えます。地政学的な不確実性が非常に高いこのような環境では、長期的な資本成長を目指す投資家にとっては、利益の確実性を高める高クオリティで、バリュエーションの下振れリスクが限定的な市場並みのフリーキャッシュフロー利回りの企業に集中投資するポートフォリオを構築することが、賢明な選択となるでしょう。世界がまたしても、バラ色の予測ほどには予測可能ではないことを証明する場合には、このようなポートフォリオが助けになるでしょう。

 
 

1 ナイトの不確実性とは、経済学者フランク・ナイトが提唱した概念で、発生確率が予測できない不確実性のことを指します。これは、確率分布が既知で、発生確率を計算できる「リスク」とは区別されます。 www.linkedin.com/pulse/embracing-knightian-uncertainty-power-strategic-foresight-petric.
2 出所:ファクトセット、2004年12月~2024年12月、S&P500上位10銘柄の加重平均
3 出所:ファクトセット、2004年12月~2024年12月、MSCIワールドEBITマージン(EBIT ÷ 売上高、%)およびMSCIワールドの税率(加重中央値 %)
4 出所:ファクトセット、2004年12月~2024年12月
5 出所:ファクトセット、2025年3月31日
6 出所:ファクトセット、2025年5月31日

 
anton.kryachok
エグゼクティブ・ディレクター
インターナショナル株式運用チーム
 
 
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100億円を超える部分に対して     0.702%(税抜 0.650%)
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