リサーチ・レポート
割安な「クオリティ」
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グローバル・エクイティ・オブザーバー
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2026年2月16日
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2026年2月16日
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割安な「クオリティ」 |
2025年は非常に好調な一年で、MSCIワールド指数は米ドル換算で21%上昇しました。2024年の19%上昇、2023年の24%上昇に続く3年連続の大幅な株価上昇を経て、グローバル株式市場は2026年、重要な転換点を迎えています。2025年末は、AIが近い将来に企業の収益性に目に見える変革をもたらし、その結果として巨額の設備投資は正当化されるという楽観論と、こうした高い期待が近い将来に実現するのか疑問視する声が次第に大きくなっていることとの間で、緊張感が高まっていました。
AI導入の進展をめぐる不確実性にとどまらず、成長率、インフレ、貿易政策、政府債務、地政学といった、挙げればきりがない不確実性が広がる中、MSCIワールド指数は依然として予想利益の20倍超、S&P500指数は22倍という高水準で取引されており、正当化される以上の確実性を織り込んだバリュエーション水準となっています。さらに、この高いバリュエーションはすでに高水準にある利益率がさらに拡大し、今後2年間でMSCIワールドの利益が毎年14%成長するという前提に基づいています。
明らかに不確実な世界において、市場が一見すると確実性を備えているかのように振る舞う局面は、スタイルとしてのクオリティ株にとって当然ながら好ましいものではなく、その結果、いわゆるインターネット・バブル期以来の水準で、市場全体を下回るパフォーマンスとなっています1。歴史的にみると、こうしたクオリティのアンダーパフォーム局面の後には、クオリティ株は相対的に顕著な回復を示してきました。これは、現在クオリティが市場で最も大きな投資機会の一つであるという運用チームの見方を裏付ける背景でもあります。
実際、複数のサブ産業にまたがる私たちが保有する多くの銘柄は二重の意味で割安に評価されています。「クオリティ株」であることに加え、先進的AIによる破壊的影響を受けるリスクがあると見なされているためです2。この影響は、情報技術セクターにおけるソフトウェア企業、資本財・サービスセクターにおける専門サービス企業、そして金融セクターの情報サービス企業に及んでいます。私たちの見解では、市場は業種やビジネスモデルの違いを十分に考慮することなく無差別的な見方をしているというものです。MSCI、S&Pグローバル、レレックス、エクスペリアンといった企業については、先進的AIの脅威に対して耐性を有する可能性が高いだけでなく、長期的にはAIの恩恵を受ける可能性が高いと考えています。このような理由から、これらの企業の将来性について、私たちは市場の見方は正しくないと考えています。もっとも、これは私たちが安易に構えているということではありません。私たちは引き続き、保有銘柄の競争優位性(モート)を再評価するとともに、先進的AIリスクに対する耐性について最も確信を持てる銘柄に注力しています。これら銘柄は、株価収益率(PER)の低下によって2025年のパフォーマンスには悪影響を受けたものの、その結果、株価が割安になり、将来の株価上昇の可能性が高まったと言えます。
また、我々の運用するポートフォリオ(以下、当ポートフォリオ)は先進的AIを提供する企業への投資も行っており、主には厳選されたハイパースケーラーです。これらの企業は、先進的AIの恩恵を除いても成長の見込みがあり、バリュエーション水準もおおむね妥当であることから、仮に先進的AIに対する期待が後退した場合でも下振れリスクを抑えることが可能であると考えています。半導体への直接的な投資が限定的な領域においては、私たちはサプライチェーンにおける重要なボトルネックを担い、生成AIの見通しに全面的に依存しない幅広い用途を有する企業を選好しています。また、計画されている設備投資が、企業のキャッシュフロー創出力ではなく、負債による資金調達に大きく依存している企業については、特に警戒しています。こうした先進的AI関連の投資ポジションは、高クオリティな生活必需品やヘルスケア企業といった伝統的なディフェンシブ性の高い銘柄を保有することで、意図的にバランスを取っています。
総じて、当ポートフォリオは、価格決定力と売上の継続性が高い特性を有する、持続的な利益成長が可能な企業を中核として構成されています。これら企業は景気循環を通じて耐性を示し、利益や株価の変動性はいずれも市場全体より低く、さらに、税引き前の投下資本利益率(ROOCE)は当ポートフォリオが75%であるのに対してMSCIワールドは24%、粗利益率は59%に対して33%です。これまで、市場はこの耐性に対していわば保険料(プレミアム)を課してきており、クオリティ銘柄は指数全体に比べて大幅に高い価格で取引されてきました。しかし、今日においては、その状況は大きく異なっています。当ポートフォリオは市場を上回る成長が見込まれており、今後2年間の売上高成長率は年率8.2%と、MSCIワールド指数の5.8%を約50%上回る水準です。このような高い売上成長と従来からの耐性という魅力的な組み合わせを備えているにもかかわらず、当ポートフォリオは実際には市場に対して過去10年でかつてないほど割安な株価フリーキャッシュフロー倍率の水準で取引されており、これは極めて稀な投資機会であると考えています。
今後を見据えると、最終的には常にそうであるように、ファンダメンタルズが再びその重要性を増してくると私たちは予想しています。この不確実な環境下において、世界でも屈指のクオリティを有する企業群から成り、かつ市場に対して異例なほど割安な価格で取引されている当ポートフォリオは、『割安なクオリティ』であると考えており、世代に一度の機会を示唆しています。結論として、強固なファンダメンタルズを備え、耐性のある利益成長を継続してきた優れた企業群で構成されたポートフォリオであるにもかかわらず、とりわけ割高感の強い市場全体と比較すると、誤った価格で取引されている、ということです。
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マネージング・ディレクター
インターナショナル株式運用チーム
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