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グローバル・エクイティ・オブザーバー
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2020年12月10日

レジリエントな(耐久性のある)コンパウンダー: 対価に見合った価値がある

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2020年12月10日

レジリエントな(耐久性のある)コンパウンダー: 対価に見合った価値がある


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レジリエントな(耐久性のある)コンパウンダー: 対価に見合った価値がある

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2020年12月10日

 
 

年初来でMSCIワールド全体のEPS(一株あたり利益)が15%下落したのに対し、インターナショナル・エクイティ運用チームが運用する3つのグローバル株式ポートフォリオのEPSは、平均的に横ばいとなっています。では、なぜクオリティが高いコンパウンダーがより割高にならないのか、当チームのBluno Paulsonが考察しました。

 
 

コンパウンダーの方が、より複利のように利益を増幅させることができる

コンパウンダーが利益を持続させる秘訣は、サイクルを通して「平均的な」企業よりも利益を成長させる、すなわち「複利のように利益を増幅」させることで、その主な理由は2020年のような厳しい時期においても利益が頑強であることです。年初来でMSCIワールド全体のEPS(一株あたり利益)が15%下落したのに対し、私たちが運用する3つのグローバル株式ポートフォリオのEPSは平均的に横ばいとなっています。

 
 
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価格決定力と継続的な売上の組み合わせは魅力的です。
 
 
 

より大きなプレミアムの欠如はミステリーである

単に高いリターンで利益が急速に伸びるだけでは、市場をアウトパフォームするには不十分です。すべての成長株がより速い利益の成長を期待されていることから、株価はプレミアムが乗った価格で取引されており、投資開始時のバリュエーションが重要になってきます。何十年にもわたって継続しているコンパウンダーのアウトパフォーマンスは、市場がコンパウンダーに対し、サイクルを通した、より強い利益成長に見合うだけの十分なプレミアムを与えていないことを意味しています。そして、それは今なお続くアノマリーであると私たちは論じます。

資本に対する高いリターンを持続させることが長期にわたって優れた利益成長を推進するということは、自明の理であり、つまり低い資本集約度での価格決定力と継続的な売上の組み合わせは当然ながら魅力的であるという事です。また、コンパウンダーは得体の知れない小型株とは対照的に、一般的によく知られ、よく研究されている企業ばかりです。私たちの見解では、サブアセットクラスとしてのコンパウンダーの成功は、市場全体の失敗の裏返しとして説明できます。これら失敗は、短期的な相対パフォーマンスや予想PER(株価収益率)など、間違った指標を測定することによって引き起こされると私たちは見ています。

業界構造は相対的なパフォーマンスに焦点を当てることを後押しする

第1の測定エラーは、業界構造によって引き起こされます。一般的に投資のバリューチェーン(連鎖・関係者)には複数の当事者(例えば年金制度を有する企業の取締役会から、企業専属の年金基金スタッフ、年金コンサルタント、ポートフォリオ・マネジャーにまで至る)が存在します。さらに、たとえ測定期間を通して当事者が変わらなかったとしても、投資スタイルと特異な要因が短期および中期のパフォーマンスに大きく寄与することがあるため、チェーンにおける参加者のスキルを測定することは非常に困難です。

結果として業界は、相対的なパフォーマンス、そして比較的短期のパフォーマンスに焦点を絞り、チェーン全体を通じて、参加者は自分がもたらしている価値を正当化し、最終的には自身が解雇されないように試みます。限られたリスク・バジェットしか持たない参加者は、損失を被る可能性がある絶対的なリスクに注目するのではなく、トラッキング・エラーを中心に構築された「相対的な」リスク回避行動を取ります。これらのインセンティブを考慮すると、絶対リスクは低いものの、高い相対リスクやトラッキング・エラーを有する戦略は無視される可能性があります。これは特に、コンパウンダーに当てはまるケースで、コンパウンダーのアウトパフォームは市場混乱期に集中して見られ一過性のもので、危機の間の平時においては、少なくとも相対的には、平凡なパフォーマンスです。

PER(株価収益率)は当てにならない

第2の測定エラーは、予想PERに注目することです。これらは多くの理由で欠陥があります。私たちは利益の部分を「嘘についての推測」と呼んでいます。「推測」と呼ぶのは、将来の予想は意図的に楽観的すぎるからです。実際の利益は、1年後予想に対しては平均8%、2年後予想に対しては平均15%も悪い結果となっています。これらの「嘘」の背景は、予想利益が調整後利益であるという事実であり、つまり従業員への株式報酬支払いや償却費用などの、「悪材料計上前」の利益と私たちが呼ぶものです。調整後利益はコンセンサスとして使われ、しばしば経営陣に報酬を支払うための測定値として使われてきましたが、過去5年間(2015~19年)のMSCIワールドで見た場合、損益計算書の一番下にある純利益は、調整後利益を15%下回りました(出所:ファクトセット)。つまり、1.7兆ドルが5年間で消滅していることになります。

 
 
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質の高い企業が失望されにくい根拠は、より予測可能な利益を有している点と、継続的でない事業に関する償却費用を被る傾向が少ない点です。
 
 
 

推測と嘘の要素が結合することで、2年後の予想利益は平均して30%も高くなる可能性があり、結果として想定PERは40%も低いことになります。質の高い企業が失望されにくい根拠は2つあります。ひとつは、今年示されたように、より予測可能な利益を有している点です。もうひとつは、継続的でない事業に関する償却費用を被る傾向が少ない点です。特に無形資産は、他社が所有する有形資産(工場や石油埋蔵量など)と違って、貸借対照表に載ってきません。なぜなら、無形資産は設備投資ではなく、P&L(損益計算)において構築されるものだからです。

上記の点は、誤った利益の数字が使われていることを示唆していますが、それだけが問題ではありません。利益の株価指標を使うことは、たとえ正しい利益の数字を使ったとしても問題があります。レバレッジ(負債の多さ)とキャッシュ・コンバージョンの2つの懸念です。私たちはレバレッジがない場合の指標を好み、時価総額に負債価値を加えたエンタープライズ・バリュー(EV)と、負債がない場合の利益(すなわち利息支払い前)であるNOPATを比較します。EV/NOPATを見ることで、レバレッジをかけて利益を創出するメリットはなくなり、結果として、レバレッジをかけた会社は当然のことながら、より割高に見えます。

また、フリー・キャッシュ・フロー利回りとDCF(割引キャッシュフロー)を相互にチェックしながら、フリー・キャッシュ・フローにも着目します。利益(会計基準)は実際には何ももたらさないので、私たちが現金に焦点を当てることはごく自然なことです。現金は、将来の投資、配当の支払い、自社株買いの実行、または他社買収のために必要です。また、投下資本利益率が高いということは、利益の多くが実際に、設備投資や運転資金には使用されず、現金として残ることを意味します。そして、投下資本利益率が高いということは、投下資本利益率が平均8%の公益事業、もしくはレバレッジのない収益率が1%を下回ることが多い銀行とは対照的に、高い自己資本利益率(ROE)を達成するためにレバレッジをかける必要性が低いことを意味しています。

調整後ベースでは、市場に対するポートフォリオの割高性は非常に低い

レバレッジとキャッシュ・コンバージョンを調整することは、ポートフォリオにとっての潜在的な投資対象の割安性を比較する際には便利ですが、それはまた、単純なPERのデータが示すよりもポートフォリオが割安である事を示唆します。私たちが運用する3つのグローバル株ポートフォリオは現在、予想EPSで見た場合、MSCIワールドに対して平均的に15%高いPERで取引されています。前述したアナリストのコミュニティが生み出す「嘘についての推測」を受け入れたとしても、EV/NOPATへのシフトは、このプレミアムを4%、現金へのシフトは5%の引き下げとなり、15%の割高性の内わずか6%のみが残されることを意味します。これは、ポートフォリオのはるかに高いクオリティと、利益を複利のように増幅させた過去の実績を考えれば、どの時点においても、十分に割高であるとは思えません。現時点においては、経済や地政学的に不確実性が無数にあることを考えると、よりいっそう割高でないように思えます。非常に脆弱な世界では、私たちが保有するコンパウンダーのように強靭な企業が、間違いなくその魅力を持っています。

 
william.lock
インターナショナル・エクイティ運用チーム責任者
インターナショナル・エクイティ運用チーム
 
bruno.paulson
マネージング・ディレクター
インターナショナル・エクイティ運用チーム
 
 
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 本書は、インターナショナル・エクイティ運用チームが作成したレポートを、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント株式会社が翻訳したものです。本書と原文(英語版)の内容に相違がある場合には、原文が優先します。

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※ 税込料率は法律に定められる税率が適用されます
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- 投資信託財産に関する租税
- 投資信託財産に係る監査報酬
- 法律顧問に対する報酬
- 投資信託約款および受益者に対する報告書の作成、印刷および交付に係る費用
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上記投資顧問報酬(0.75%)と上記投資信託の信託報酬(0.05%)の合計は、0.80%(年率、税抜)となります。