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グローバル・エクイティ・オブザーバー
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2020年12月23日

これからバリュー株相場は訪れるか?過去の相場を振り返る

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2020年12月23日

これからバリュー株相場は訪れるか?過去の相場を振り返る


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これからバリュー株相場は訪れるか?過去の相場を振り返る

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2020年12月23日

 
 

夏にグロース株が驚異的に上昇した後、しばしば投資家から、「おそらく今すぐではないにしても、短中期的にバリュー株相場に入るかどうか」という質問を聞かれます。

 
 

政府の介入、中央銀行の政策、インフレ、政局の変化など、こうしたバリュー株相場のきっかけとなりうる潜在的な外部要因について、私たちは確固たる見解を持っていません。しかしながら、利益(より正確にはキャッシュフロー)が最終的にはバリュー株相場のけん引役になると考えています。特に、利益成長の予測可能性です。市場全体の利益成長がより予測可能であればあるほど、バリュー株相場が現実のものとなる可能性は高まります。

 
 
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利益成長がより予測可能であればあるほど、バリュー株相場になる可能性は高まります。
 
 
 

図表1はこの点について示しています。棒グラフは、12か月予想EPS成長のコンセンサス予想を示しています。濃い青の折れ線グラフは、EPS成長の実績値を示しています。棒グラフと折れ線グラフが近接して並んでいる箇所では、コンセンサスが概ね正しかったことを意味しており、乖離しているところは、利益の予測が正しく行われず期待が外れたことになります。縦の網掛けで示した領域は、バリュー株相場の期間、すなわち、MSCIワールド・バリュー・インデックスがMSCIワールド・グロース・インデックスをアウトパフォームした期間を示しています。ご覧のように、過去のバリュー株相場は、利益の予測が正しくなされていた時期に起こっていました。

これは、それほど意外なことではありません。バリュー株とは、直近の内在価値に比べて割安な銘柄のことです。 企業の内在価値は、その企業の将来のフリーキャッシュフローによって決まり、利益はフリーキャッシュフローの重要な構成要素であり、したがって、利益は企業の配当の支払いや事業への再投資を行う能力の重要な構成要素と言えます。例えば景気循環性や、経営者、構造的な問題などによって生じる不確実性により、しばしばバリュー株は内在価値から割り引いて取引されるため、利益が予測可能な期間においては魅力的になることがあります。このような場合には、株価と内在価値間のギャップはかなり簡単に判断できます。期待外れな利益が続いてしまうと、投資家にとって内在価値を見極めることは困難となり、不確実性に起因する株価下落が深まります。

 
 
 
図表1: MSCIワールドEPS成長:予想と実績の比較
 

出所:MSIMおよびファクトセット(2020年10月)

 
 

2003年から2007年7月までのバリュー株相場を見ると、安定した「ゴルディロックス」環境(景気が過熱も冷え込みもしない適度な状況にある環境のこと)であったことから、利益成長の予測は容易であり、バリュー株はアウトパフォームしました。同様に、2009年から2010年の回復期には、循環型(シクリカル)バリュー株の利益予想は信頼できるものであったため、投資家からの買い戻しが入りました。

 
 
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バリュー株相場は何よりもまず利益によって起こるもので、バリエーションによって起こるものではありません。
 
 
 

2010年以来、10年近くにわたり、マイナス金利だけでなく技術革新や政治的な混乱(最初はユーロ圏、次に米中関係)により、ほとんど一貫した失望的な利益を私たちは目の当たりにしてきました。一時的な救済措置によって予想に見合った利益成長が実現した、2012年から2013年の非常に短い期間と2016年を除けば、失望的な利益によりバリュー株はアンダーパフォームしました。

 
 
 
図表2: グロース株のプレミアムおよび失望的なEPS
 

出所:MSIMおよびファクトセット(2020年10月)

 
 

グロース株と比較したバリュー株の相対的な割安性は、さほど重要ではありません。PER(株価収益率)で見たグロース株のバリュー株に対するプレミアムは、過去20年間における主な4つのバリュー株相場に入る前にも、入った後でも、かなり安定していました。言い換えれば、バリュー株相場は何よりもまず利益によって起こるもので、バリエーションによって起こるものではありません。

2020年、新たな世界へ

現在のコロナ危機において、目先の利益に対する失望は2018年ほど悪くないにも関わらず、グロース株に対するバリュー株のアンダーパフォームは過去20年間で最大となりました。この結果、バリュー株とグロース株の相対的なバリエーション格差は、2000年以降で最も大きくなっています。

 
 
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利益成長がより予測可能にならなければ、バリュー株相場は訪れないでしょう。
 
 
 

この格差が示唆するところは、今後、より多くの利益に対する失望が訪れる、すなわち、12カ月予想コンセンサスである35%の利益改善は単に実現しないと考えられている、ということです。市場が正しいかどうかは分かりませんが、利益成長がより予測可能にならなければ、バリュー株相場は訪れないと確信しています。また、過去10年に見られたように、利益の予測可能性は単に経済成長だけに左右されるものではなく、企業がいかにうまく変革に対応し、新しいテクノロジーを採用し、さらに(今後ますます)いかにESG問題にうまく対応できるか、という問題でもあります。言い換えれば、バリュー株相場になるためには、非常に多くのことが正しい方向に進む必要があります。

バリュー株相場におけるクオリティ株

このことは、次の疑問につながります。すなわち「バリュー株相場において、クオリティ株のポートフォリオはどのように動くのか」ということです。私たちが定義するクオリティ株は、何よりもまず、予測可能な利益成長を持続的に高い利率によってもたらす銘柄です。予測可能な利益を有する企業がわずかしか存在しない時期においては、クオリティ株がアウトパフォームする傾向があります。 その主な背景として好調な利益が挙げられますが、希少性プレミアムが高まることも一因となっています。バリュー株相場においては、この希少性プレミアムは低下します。 しかしながら、予測可能な利益成長に影響はありません。したがって、クオリティ株のポートフォリオにおける絶対的なリスクは、利益にはなくバリエーションにこそあります。 私たちが運用するポートフォリオの過去の傾向と相対的なパフォーマンスを見ると、バリュー株相場(2003-2007年、2009/10年、2012/13年、2016年)には、概してパフォーマンスは相対的に遅れをとったものの、絶対的な観点で見ると堅調だったことが分かります。さらに足元の、この前例のない環境下においても、私たちが運用するグローバル・ポートフォリオの利益特性が予測可能性とレジリエンス(回復力)を示していることが再び確認されました。

 
 
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この前例のない環境下においても、私たちが運用するグローバル・ポートフォリオの利益特性は予測可能性とレジリエンス(回復力)を示してきました。
 
 
 

現在の私たちの主な懸念事項はバリエーションです。パンデミックでは、予測可能な利益特性を持つ企業はさらに希少になり、そのバリエーション・プレミアムも上昇しました。これは、高成長のテクノロジー企業や、いわゆる「コロナ危機の勝ち組」に当てはまります。

私たちは、株価下落の要因は2つしかないと考えています。すなわち、EPS(一株あたり利益)の低下か、PER(株価収益率)の低下のどちらかです。このことから、高成長/高バリエーション企業について私たちは警戒せざるを得ません。結果、ここ数年にわたり私たちが行ってきたポートフォリオの変更は、利益成長よりもバリエーションに対する懸念によるものが主でした。バリエーションが高すぎる銘柄から、より現実的なバリエーションの銘柄へと着実にシフトしてきました。バリエーションに対する私たちのアプローチと好調な利益の両方の結果として、私たちのポートフォリオは市場と比較して、実際に割高性が低下しました。対照的に、大半のグロース株ポートフォリオはパンデミックの期間中に割高になっています。

今後も、絶対値でも相対値でも、バリエーションを可視化することはできません。短期的および中期的にポートフォリオがアウトパフォームするかどうかは、市場が全体的な利益の予測可能性が高い世界に移行するかどうかに、一部左右されるでしょう。 しかし、相対的なパフォーマンスは私たちの目標ではありません。利益が予測可能かつ複利のように増加し、持続的に高い投下資本利益率をあげる企業の株式を許容可能な価格で買うことを目指しています。私たちの目標は、長期的な相対リターンではなく絶対リターンを生みだすことなのです。

 
nic.sochovsky
マネージング・ディレクター
インターナショナル・エクイティ運用チーム
 
dirk.hoffmannbecking
エグゼクティブ・ディレクター
インターナショナル・エクイティ運用チーム
 
 
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 本書は、インターナショナル・エクイティ運用チームが作成したレポートを、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント株式会社が翻訳したものです。本書と原文(英語版)の内容に相違がある場合には、原文が優先します。

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