Insight Article Desktop Banner
 
 
グローバル・エクイティ・オブザーバー
  •  
2021年5月27日

デジタル時代に大手ブランドが成功する理由

Insight Video Mobile Banner
 
2021年5月27日

デジタル時代に大手ブランドが成功する理由


グローバル・エクイティ・オブザーバー

デジタル時代に大手ブランドが成功する理由

Share Icon

2021年5月27日

 
 

大衆消費者向けのブランドは、そのカテゴリーにおいて想定しうる全ての消費者に商品販売することを目指しています。実際に、ブランドの一般的な購入者は、その商品のヘビーユーザーではないことがほとんどです。Kantar(英国の市場調査会社)のデータによれば、世界的に有名な清凉飲料メーカーの例として、同社の名前を冠する飲料を消費者が平均的に年12缶ほど購入するというデータがあります。しかし、この平均が示す数値は誤解を招きます。

 
 

なぜなら購入者全体の平均値イコール、大多数の購入者の購入回数ではないからです。集計データ分布の中には、年間1,000缶を購入している消費者も存在し、彼らが全体の平均値を押し上げていることから、実際には大多数の消費者は年1~2缶しか購入していないということになります。この購買頻度の傾向は、大小問わず全てのブランドで共通して見られます。これを示すもう1つの方法として、最も購入が多い上位20%の消費者が、全体の販売額の何%を占めているかを計算することがあげられます。経験的には、最も購入が多い上位20%の消費者は全体の購入額の50%近くを占めており、これはパレートの法則(80:20の法則)から、かなり乖離しているといえます。(※パレートの法則:全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているという考え方で、売上の8割は全顧客の2割が生み出しているという事象を説明するのによく用いられる法則1。)

つまり、ブランドを成長させるためには、上位20%ではない残りの80%(この有名な炭酸飲料の缶を、ごくまれに買う可能性がある多くの消費者、つまり、普段から購入を検討したり、実際に購入することがほとんどない消費者)もターゲットにする必要があるということです。このような消費者は、そもそも、その商品の存在が頭の片隅にすらなく、半年または年に一度でさえ購入するかしないかです。これら消費者に商品の存在を忘れさせることなく、購買を促すには広告が必要不可欠です。広告が効果を発揮すれば、商品を手に取ってもらえる可能性がゼロだったところから、多少はその可能性が高くなるでしょう(例えば、300日に1回その商品を買おうかな?と思ってくれるチャンスが300日に2回に増える可能性)。その変化はごくわずかと思われるかもしれませんが、広告に接した消費者全員が300日に1回から2回に購入頻度を増やしたならば、この炭酸飲料の大半を占める購買層の売上げは倍増することになります。

では、ブランドはどのように成長するのでしょうか?そのためには、メンタル・アベイラビリティ(ブランド想起の高まり)および、フィジカル・アベイラビリティ(購買機会の高まり)を拡大していく必要があります。

 
 
"
人々の生活体験が記憶を形作り、人々の記憶はブランドとの独自の出会いに基づいています。”
 
 
 

まず、「メンタル・アベイラビリティ(ブランド想起の高まり)」について分析してみましょう。人間の脳は、概ねどの人も同じように働いています。その証拠に、脳神経外科医が脳の手術を行うために患者の出身国を知る必要は全くありません。しかし、人々の生活体験が記憶を形作っていることから、誰一人として脳内で同じ考え方を持っている人はいないということになります。言い換えれば、購買者がブランドをどのように暗号化し、記憶として保存、そして購買者の記憶から検索するかはどの購買者にも共通点が存在するものの、人々の記憶を形作るものはブランドやカテゴリーとの出会い(生活体験)次第で十人十色、ということです。

連想ネットワーク理論は一般に、共通の基盤を有する記憶に関する理論群と理解されています。この一例として、ノード(結合点)で構成される記憶が、相対した時にリンク(連携)して基盤を作ります。例えば、デビッド・ベッカムとあるスポーツウェア・ブランドの広告特集を見ると、記憶の中でその2つがリンクし、別の機会にベッカムを見た際には、そのスポーツウェア・ブランドが思い浮かぶ可能性があります。

 
 
"
大手ブランドは、より幅広いメンタル・アベイラビリティを有しています。
 
 
 

人々は何を購入すべきか決める際、その理由を考えます。これは検索の手がかりと呼ばれます。私たちが(簡単に)思いつくものが、何を買うかを大体決めます。では、特定の事例において私たちが(簡単に)思いつくことは、何によって決まるのでしょうか。例を挙げてみましょう。もし疲れたと感じたら(すなわち、検索の手がかり)、元気が回復する飲料が欲しくなる可能性があり、そこで選択肢(ソフトドリンク、コーヒー、カフェイン入りの炭酸飲料)が脳に飛び込んできます。購入者が購入するための選択肢を探し出すために用いる、これらの一般的な考えは、有用なカテゴリー・エントリー・ポイント(CEP)と呼ばれます。これは何を意味するのでしょうか。大手ブランドは、小規模ブランドよりも幅広いCEPと結びついています。言い換えれば、大手ブランドは、より幅広いメンタル・アベイラビリティ(精神的な可能性)を有しています。例えば、人々がソフトドリンクを求める理由となるCEPは豊富にあります。(暖かい日であること、子供たちが喜ぶこと、自分へのご褒美として、食事との相性の良さなどです。)

次に、「フィジカル・アベイラビリティ(購買機会の可能性)」についてご説明しましょう。フィジカル・アベイラビリティにおいて重要な点は、ブランドを簡単に見つけて購入できるようにすることです。フィジカル・アベイラビリティがなければ、メンタル・アベイラビリティへの投資は大部分が無駄になり、その逆もしかりです。

食料品の購入は、ほとんどの人にとって日常生活の一部であり、必需品は常に補充を必要としています。そして各チャネル(集客するための媒体)の市場占有率とその重要性は、国によって、また農村部と都市部の間でも異なっています。どこで買い物をするかの選択肢が増えるにつれ、人々は他商品を一つの商品で代用するのでは無く、むしろ自身の買い物先のレパートリーに他商品を加えるようになります。どの国でも複数チャネルでの買い物が当たり前です。結果的に、買い物客が1つの店舗でしか買い物するという事は滅多に無いため、ブランドは複数の小売業者やチャネルをカバーする必要があります。店舗では、様々なブランドが乱立しています。メンタル・アベイラビリティと特有の資産(ロゴやパッケージ)、フィジカル・アベイラビリティ(陳列棚で目に付く場所の確保など)によって、購入者はブランドを発見しやすくなります。これらの要因によって、大手ブランドの強みは更に強化されます。

デジタルの世界

ブランドの成長は、市場占有率を高め、いかにライトユーザー(常連購入者ではなく、まれにしか商品を購入しない消費者)をより多く惹きつけるかにかかっています。そのため、あらゆるマーケティング活動は顧客への接触率を高める必要があります。接触率とは、特定の期間においてブランドのマーケティング活動に触れた消費者(広告等を視聴した人々)の規模を意味します。ソーシャルメディアやデジタル広告は容易に、より多様な方法で消費者への接点をもつことができます。そして決定的に重要なこととして、消費者に関するデータを多く保有するブランドほど、より効果的でターゲットを絞った広告が可能になります。大手ブランドは、より多くの消費者とデータを有しており、その結果、オンライン広告に投じる費用はオフライン広告の2倍にもなっています2

 
 
"
ブランドの成長は、市場占有率の高さによって左右されます。そのため、あらゆるマーケティング活動は顧客への接触率を高める必要があります。
 
 
 

オンライン(およびモバイル)での買い物は、フィジカル・アベイラビリティを拡張します。当然のことながら、インターネットは最も急速に成長している流通チャネルであり、大小さまざまなブランドにとって対等な競争の場となっていると主張する人達もいます。その主張は、オンライン小売業者のショッピング環境では、フィジカル・アベイラビリティが複数ブランド間で均質化することがその背景、というものです。オンライン上では、大手ブランドがオフライン店舗内で典型的に支配する陳列棚の優位性(販売店の目立つ場所に陳列してもらえるなど)がないうえに、小規模ブランドは大手ブランドが現実世界で不動産(路面店舗など)を所有しているかのように、「無制限の陳列棚」がある環境を有することができるからです。ただ、現実はそう甘くありません。オンライン・ショッピングでは時間節約のためのショッピング・リストが消費者に提示され、より購入頻度の高いブランドがリスト上の一番上に表示されます。平均すると、購入の半分以上が13秒で行われており、私たちは皆、必需品の買い物に費やす時間を減らしたいと考えているということです。

COVID-19は、こうしたデジタルのトレンドを加速させ、大手ブランドの消費者とのつながりを支えました。例えば、2020年には世界最大の化粧品会社のEコマースによる売上は62%伸び、売上げ全体の27%を占めるまでに至りました。その結果、百貨店とトラベル・リテール・チャネル(旅行者向けの免税店など)の閉鎖による売上げへの打撃をほぼ相殺し、通期の売上高はわずか4%の減少にとどまりました。ある米国の多国籍消費財会社のEコマース売上高(売上高全体の14%を占める)は50%増加し、全体の売上高成長率(+8%)を牽引しました。英国の多国籍消費財会社のEコマースの売上高(売上高全体の12%を占める)は56%増加し、全体の売上高は12%成長しました。結果として、これら創業100年以上の企業はデジタル時代に適応することができており、今後も高い利益率を維持しながら、売上と利益を増加させ続けることができると確信しています。

 
 

1 出所:「How Brands Grow」(Byron Sharp)
2 出所: https://www.conagrabrands.com/files/cagny-2021


 
nic.sochovsky
マネージング・ディレクター
インターナショナル・エクイティ運用チーム
 
 
関連レポート
 
関連レポート
 
 

本書は、インターナショナル・エクイティ運用チームが作成したレポートを、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント株式会社が翻訳したものです。本書と原文(英語版)の内容に相違がある場合には、原文が優先します。

本書はグローバル・フランチャイズ運用戦略に関する情報提供を目的として作成したものであり、法令に基づく開示書類ではありません。本書は信頼できると判断した情報を元に、十分な注意を払い作成しておりますが、その正確性や完全性をお約束するものではありません。本書の内容は作成時点のものであり、将来予告なく変更されることもあります。本書中のグラフ、数値等は過去のものであり、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。また、特定の銘柄及び市場等全般の推奨や価格の上昇又は下落を示唆するものではありません。

当社の事前の許可無く、本書を第三者へ交付することはご遠慮下さい。

重要事項
本書は、当社の投資一任契約および投資顧問契約に関する業務に関連して提供されるものであり、特定の金融商品の取引や申込みの推奨や勧誘を目的とするものではありません。また、弊社は、本投資戦略によって運用されている金融商品の取引や申込みの推奨や勧誘を行うものではありません。

1. 投資一任契約の概要
投資一任契約は、お客様の資産の運用に関し、お客様があらかじめ運用の基本方針を定めた上で、有価証券の価値等の分析に基づく投資判断のすべてを当社に一任し、当社がこれをお引き受けするものです。お客様は投資を行うのに必要な権限を当社に委任し、当社は委任された権限を行使するにあたっては、当社の投資判断に基づきこれを行い、お客様は個別の指示を行わないものとします。

2. 元本損失が生ずることとなるおそれ
受託資産の運用には、受託資産に組入れられた株式その他の有価証券等の価格変動リスク、株式その他の有価証券等の発行体の信用リスク及び株式その他有価証券等を売却あるいは取得する際に市場に十分な需要や供給がないため、十分な流動性の下で取引を行えない、または取引が不可能となる流動性リスク等による影響を受けます。また、外貨建て資産に投資するため為替変動リスクの影響を受けます。受託資産の運用による損益はすべてお客様に帰属し、元本が保証されているものではなく、元本損失が生ずることとなるおそれがあります。

3. 投資一任契約締結に際しての留意事項
受託資産の運用は、個別の受託資産ごとに投資対象資産の種類や投資制限、取引市場、投資対象国等が異なることから、リスクの内容や性質が異なりますので、投資一任契約を締結する際には、契約締結前交付書面をよくご覧ください。

リスクについて
当運用戦略は主に海外の有価証券等を投資対象とするため、当該有価証券の価格の下落により投資元本を割り込むことがあります。また、外貨建ての資産は為替変動による影響も受けます。従って、お客様の投資元本は保証されているものではなく、運用の結果生じた利益及び損失はお客様に帰属します。投資する可能性のある金融商品等には、価格変動リスク、信用リスク、流動性リスク、為替変動リスク、デリバティブ取引に伴うリスク、カントリーリスク等のリスクを伴います。

費用について
投資一任契約に基づいて直接投資をする場合の費用
投資顧問料率
25億円までの部分に対して          0.864%(税抜 0.800%)
25億円超50億円までの部分に対して             0.810%(税抜 0.750%)
50億円超100億円までの部分に対して           0.756%(税抜 0.700%)
100億円を超える部分に対して     0.702%(税抜 0.650%)
※ 表記の料率は年率表示です
※ 上記以外に投資一任契約に基づいて投資信託に投資する場合の報酬体系は上記と異なる場合があります
※ 契約資産の性質・運用方法等により、お客様と協議の上、最低受託額、受託額及び投資顧問料率を別途取り決めることがあります
※ 税込料率は法律に定められる税率が適用されます
また、投資一任契約に基づく組入資産の売買手数料、保管費用等をお客様にご負担いただきます。(当該手数料等につきましては、運用状況等により変動するため、事前に料率やその上限額等を表示することができません。)

最低受託金額
効率的な運用を実現するという観点から、個別口座の最低受託金額を50億円と設定しております。
《ご注意》
上記に記載している費用項目につきましては、一般的な投資一任契約を想定しております。受託資産の運用に係るリスクや費用については、投資一任契約を締結する際に、事前に契約締結前書面をご覧ください。
投資一任契約に基づいて投資信託に投資する場合の費用
組入れ予定の投資信託は、弊社がお客様と締結する投資一任契約に基づいて投資を行うための専用ファンドであり、当該目的での利用に限定しております。

投資顧問料率
一律0.81%(税抜0.75%)
組入れる投資信託で弊社が運用報酬を受領する場合、上記料率から控除して投資顧問報酬額を算出します。

•   組入れ予定の弊社設定投資信託から弊社が受領する運用報酬はございません。したがって、投資顧問報酬額は上記の年率0.75%(税抜)で計算されます。
•   表記の料率は年率表示です。
•   契約資産の性質・運用手法等により、お客様と協議の上、別途報酬額を取り決める場合があります。
•   税込料率は法律に定められる税率が適用されます。

投資信託にかかる費用
信託報酬                        年率0.054%(税抜 年率0.05%)内、委託者報酬(運用報酬) ありません
信託財産留保(相当)額    基準価額に0.20%を乗じた額(解約時)

•   販売手数料はございません
•   当該投資信託に関する以下のその他の費用を、投資信託財産で間接的にご負担いただきます

- 組入有価証券を売買する際に生じる取引費用
- 外貨建資産の保管費用
- 信託事務の処理に要する諸費用
- 受託会社の立替えた立替金の利息
- 投資信託財産に関する租税
- 投資信託財産に係る監査報酬
- 法律顧問に対する報酬
- 投資信託約款および受益者に対する報告書の作成、印刷および交付に係る費用
- 公告および投資信託約款の変更および解約に関する書面の作成、印刷および交付に係る費用
- 投資信託振替制度に係る手数料および費用等
(上記その他の費用については、当該投資信託の運用状況等により変動するため、事前に料率やその上限額等を表示することができません)

上記投資顧問報酬(0.75%)と上記投資信託の信託報酬(0.05%)の合計は、0.80%(年率、税抜)となります。