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グローバル・エクイティ・オブザーバー
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2023年6月6日

マルチステージの人生へようこそ

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2023年6月6日

マルチステージの人生へようこそ


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マルチステージの人生へようこそ

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2023年6月6日

 
 

ここ100年余り、先進国における人生は、明確な3つのステージにきっちりと分類されてきました。教育に終始する期間に始まり、雇用に終始する期間に移行し、そして可能になった時点で引退します。この直線的な人生の順序は、人々を年齢層で一括りすることにより、確実性と予測可能性をもたらしてきました。最若年世代は学習し、20代前半から65歳までは職に就き、65歳以降は悠々自適の生活を送る黄金の期間を迎えます。

しかし、Lynda Gratton教授とAndrew Scott教授が幅広く評価された著書『LIFE SHIFT(ライフ・ シフト)-100年時代の人生戦略』で説明したように、長寿はこの三段階の人生という概念を分解し、私たちの人生設計を決定する多くの基本的前提に疑問を投げかけています。

 
 
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マルチステージの人生がもたらす可能性のある重大な変化を収益化できる有利な立場にいるのは、どの企業や業界でしょうか?
 
 
 

新たな世界の秩序を理解する

現在の平均寿命のトレンドが継続すれば、今日、先進国で生まれた大半の子どもは100年以上生きると予想されます1。このような長寿化の流れは、新たな、あるいは最近の現象でもありません。19世紀半ば以降、技術の進歩、医療システムの向上と所得の増加により、平均寿命は10年ごとに約2~3年の割合で延びてきました2。この長寿化は、より若い世代に相当の利益をもたらす可能性がありますが、時間という贈り物は単に若年層だけへの贈り物にとどまりません。私たちは平均して前の世代より長い間、より健康で生きる公算が大きくなっています。

問題は、リタイア後の生活が長期化する中、老後を支える年金基金がわずかな額にとどまる点です。特に若年世代は長寿化に伴い恐らく70代、80代まで、より長期間働くことを受け入れなければなりません。このような雇用期間を長期にわたって持続させるためには、既存の構造をより柔軟で、個人に適した、対応力のあるものに置き換える必要があります。すなわち、個人が生存する間に多数のキャリア、休憩、移行を経験することもあり得るマルチステージの人生です(図表1)。この再設計された社会構造では、教育は21歳では終わらず、引退は明らかに65歳から始まりません。

 
 
 
図表1 3段階の人生から 複数のキャリア、休息と移行を伴うマルチステージの人生という、新たな世界秩序へ
 

Adapted from: Jenny Dearborn, May 2017; https://www.litmos.com/wp-content/uploads/2018/11/Learning-the-Future-of-Work.pdf

 
 

より多くの移行、新たな順序の可能性と新たなライフステージは、年齢を段階から切り離し、従来の消費習慣を破壊し、ライフスタイルの選択に影響し、新たな機会を創出します。私たちはこれらの変化がさまざまな世代にわたる幅広いものになると考えます。投資家として私たちの疑問は、マルチステージの人生がもたらしうる、行動やライフスタイルの重大で長期的な変化に耐え、十分な収益化が可能な立場に位置するのはどの企業や業界かということです。

変化は既に進行中

この数十年間、さまざまな業界でパラダイムシフトが起きてきました。変化する顧客プロフィールに伴い、企業は特に現在のマクロ環境で重要な、最終損益に対するコスト圧力の上昇を管理しながら、一段と機敏に、自社のデジタルおよびオンラインでの存在を優先させ、透明性と持続可能性に関する消費者需要を充足する事を余儀なくされています。このような変化は、さまざまな業界にさまざまな形態で混乱をもたらしており、大まかに以下のように分類できます。

  • インターネット採用とデータのデジタル化の加速。人工知能(AI)、自動化、ロボティクス、仮想・拡張現実(VR/AR)、モノのインターネット(IoT)(例えばクラウドインフラ、スマートホーム/スマートシティなど)やその他の新たな技術などが挙げられます。
  • 高まる透明性の重要性。消費者が消費する商品やサービスについて、より多くの知識を得るようになっていることが背景にあります。大まかに1990年代半ばから2010年代初期に生まれた人口と定義されるZ世代のような若年世代は、ある研究によると、この世代の約65%が購入するもののすべての起源を調べるとし、「取調官と言ってよいほどの研究者3」と呼ばれています4。
  • より短い商品サイクル。企業がサプライチェーン(供給網)管理とITインフラの強化を通じて、変化する消費者の嗜好を素早く反映できる能力を背景に、個人がオンデマンドで情報にアクセスできることが要因です。
  • 流通モデルの変化(直販とオンラインチャネルへの移行)。顧客との新たな接点を提供し、バーチャル環境と従来の実店舗とのシームレスな移行をもたらします。
  • 目的に対するより明確なポジショニング。顧客が価格あるいは品質だけを考慮するのではなく、自らの価値観と一致するブランドを求めていることが背景にあります。

 

私たちはどこに向かっているのか

数世紀には至らないにせよ、数十年の歴史と伝統が染み込んだ高級ブランドにとって、延長されたマルチステージの人生は 新たなダイナミクスをもたらしています。Z世代とアルファ世代(2010年以降に生まれた人々)の支出の伸びは、それ以前の世代と比べて3倍の速度で、2030年までに高級品市場の3分の1を占めると予測されています5。各ブランドは、とりわけ「shopper promiscuity(買い手の心変わり)」の拡大がブランド・ロイヤリティを破壊するのに伴い、多世代に向けた商品の創出について、より真剣に考える必要があります。若い世代が持つ時間という贈り物はまた、創造的な自由と個人の発現により大きな機会をもたらします。これは、二つの広い範囲にわたる影響があります。一つは、特注製品の需要を促進する可能性があります。消費者は自分の人生の複数の段階において、その段階に相応しい質の高い高級品を求める可能性がある一方、自らの購入が何らかの形で自分のアイデンティティに寄与すると感じたい、と思うかもしれません6。 これは、商品に意図的に消費者のセンスや好みを反映して作り出した、というプレミアムを付加します。最高級ブランドは、既にこの需要への対応に取り組んでいます。例えば、私たちが保有する欧州の高級ファッションメーカーは、ハンドバッグ向けに人気のパーソナライズサービスを導入しました。2つ目の効果は、特注体験需要の増加です。従来の宣伝広告/活字メディアの特徴である画一的な方法を推進するのではなく、新たな流通経路を通じたエンゲージメントとつながりに重点を置いて、企画・実行する没入型の体験を考えます。一部の高級ブランドは、先進のデジタルとAIツールの採用を開始しています。例えば、われわれが保有するアウターウェアを専門とするイタリアの高級ファッションメーカーは、顧客に色や装飾の選択肢とともに、そのブランドの光沢のあるふっくらとしたジャケットの3次元画像を見ることができる、独特のVR体験を提供しています。これの難しい点は、高級商品の知名度と伝統の魅力を守りながら、特別注文と個別の体験に対する需要充足とのバランスを見つけることです。

雇用の世界では、70代あるいは80代まで働くことが当たり前になるのに伴い、「生涯の仕事」の概念が完全になくなります。個人がもはや40年程度同じ仕事に就く必要がない、あるいは、実際に出来なくなり、スキルアップと再訓練がマルチキャリアの成功に欠かせなくなります。転職率の上昇は、雇用サービスを提供する企業や、ソフトウエア会社などの再訓練ニーズを満たすサービスを提供する企業にとっては、機会をもたらします。2つ目は、いたるところにテクノロジーが存在し、そして新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の間に各国が仮想環境を経験したということが、時代に合わなくなった職場の再考を促しています。多くの雇用主が、パンデミック時代から生まれたハイブリッドな勤務パターンを引き続き採用しています。例えば、クラウドやソフトウエアサービスのプロバイダーなど、オフィスの境界外で生産性を上げる従業員を持ち、引き続き柔軟性のある作業環境を支えることができる企業は、利益を上げ続けるはずです。

長寿化で自動的に生活の質は向上しません。100歳まで生きることに、そのうちの50年が不健康だとしたら魅力を感じるでしょうか?健康と幸福(肉体と精神の両方)を監視して維持することに対する個人の負担が増しており、20 代や30代の時と同じように、人生の後半においても自分の健康への投資が求められます。消費者の健康と幸福への関心と、それへの投資意欲の高まりという構造的な追い風を受け、世界のウェルネス市場の規模は現在、約1兆5000億ドル、年間成長率は5~10%と推定されています7。これはスポーツ用品やアパレル、スマートウォッチなどのウェアラブルなモニター装置など、より健康的なライフスタイルを支える商品を手掛ける企業に魅力的なチャンスをもたらします。個人的なオンデマンドの健康データ需要を取り込むことで、ソフトウエアサービスやそのほかのヘルスケアテクノロジーデータのプロバイダーは、健康維持になくてはならない存在になります。健康問題の予防に置かれたより大きな焦点が、患者主導の人間ドックの拡大につながるかもしれません。それと同時に、診断と個人に合わせた治療計画を手掛ける企業にとっては、製品やサービスの需要が促進される可能性があります。医療用診断についてさらに詳しく考察した次の「グローバル・エクイティ・オブザーバー」にご注目ください。

質にこだわった私たちのアプローチ

私たちはなぜこうしたことを気にかけるのでしょうか?私たちのチームの投資アプローチは、長期にわたって利益を拡大することができる質の高い企業を特定することに軸足を置いています。極めて重要なのは、このような企業はブランド、ネットワークやライセンスなど、自社の力強い無形資産を通じて重要性を維持する能力を持っており、結果として他社による参入に対する高い障壁を維持できる点です。つまり私たちは、流行や一時的なマクロのノイズをあまり心配せずに、その企業のファンダメンタルズに注意を払うということです。問題となるのは、私たちが投資する企業が逆境に耐えて重要な長期的なテーマと機会を、十分に活用することができる有利な立場にあるかどうかだと考えます。

マルチステージの人生が、特定の企業と業界の利益に重大な影響を及ぼすには時間がかかるかもしれません。ただし、消費者とつながるブランド価値の開発は、その方法が長寿化の課題に対応する革新的なソリューションの開発であれ、急速に変化する世界により適応する製品とサービスの提供であれ、プラスであるはずです。ウォーレン・バフェット氏の知見に満ちた言葉を引用すれば「今日、誰かが木陰で休むことができるのは、昔、誰かが木を植えてくれたから」ということになります。

私たちのチーム

私たちは、在籍期間が長くて豊富なリソースを備えた、14名の投資家からなるチームです。ポートフォリオにレジリエンス(回復力)を持たせることを目指すのと同様に、私たちは回復力のあるチームの構築が不可欠だと考え、そのためにチームは意図的にさまざまな世代で構成されています。ここ数年、私たちは若手のアナリストへの投資だけでなく、経験豊富なアナリストの他社からの採用も進めています。このような多様な「マルチステージ」の人材とともに、私たちの意図は、来るべきトレンドと機会で首尾よく舵を取る準備を整え、私たちの質の高いアプローチと長期的なレジリエンスを一段と強化することです。

 
 

1ᅠ出所:ロイター。Kate Kelland執筆「豊かな世界で生まれた赤ちゃんの半数が100歳まで生きる」(2009年10月2日)

2 Lynda GrattonおよびAndrew J. Scott著「100年時代の人生戦略」Bloomsbury Publishing: London、2010年

3 出所:Vogue Business「How Gen Z is changing beauty」、Annachiara Biondi、2021年7月2日

4 出所:McKinsey & Company、「True Gen’: Generation Z and its implications for companies」 Tracy Francisおよび Fernanda Hoefel、2018年11月12日

5 出所:Bain & Company、「Renaissance in Uncertainty: Luxury Builds on Its Rebound」 Claudia D'Arpizio、 Federica Levato、Filippo Prete、およびJoëlle de Montgolfier、2023年1月17日

6 出所: フォーブス 、「Inflation:One More Driver of Shopper Promiscuity」、Rebecca Brooks、2022年10月5日

7 出所:McKinsey & Company、「Feeling good: The future of the $1.5 trillion wellness market」、Shaun Callaghan、Martin Lösch、Anna PioneおよびWarren Teichner 2021年4月8日

 
 
Emma Broderick
Emma Broderick
アナリスト
インターナショナル株式運用チーム
 
jinny.hyun
アナリスト
インターナショナル株式運用チーム
 
 
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本書は、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントが2023年2月に 海外で発行したレポートを邦訳したものです。本書と原文(英語版)の内容に相違 がある場合には原文が優先します。

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