フラッシュ・レポート
  •  
2018年12月7日
(貿易)戦争-何の役に立つのか
 

フラッシュ・レポート

(貿易)戦争-何の役に立つのか

(貿易)戦争-何の役に立つのか

Share Icon

2018年12月7日

 
 

執筆時点において(2018年10月31日)、MSCIワールド・インデックスは2016年初め以来となる10%を超える調整を経験しました。市場関係者はこの調整について、金利の上昇、供給制限や環境規制を受けたエネルギーコストの上昇、イタリアの政治的混乱、米国と中国の貿易摩擦の激化など、様々な要因を挙げています。これが長く続く市場の減速の始まりなのか、または単に一時的な急落なのか、いつもの事ながら当運用では、これを判断することはしません。

しかし、我々のポートフォリオはこれらの問題をよりうまく回避していると考える理由を、貿易摩擦を例に少し詳しく説明します。

保護主義の高まりによる影響の評価

貿易摩擦に対する分析の大半は、輸入障壁が国内総生産(GDP)に与える影響を評価しようとしています。影響の程度についてのコンセンサスはないと思われますが、欧州中央銀行は1年目のベースラインと比較して、世界のGDPにマイナス0.75%の直接的・間接的な影響があると推定しています。

GDPは個々の製品需要を予測する上で便利なツールであるものの、この特定ケースでは実際には非常に誤解を招く結果になる可能性があります。貿易戦争は、2つのチャネルを通してGDPに直接的な影響を与えます。輸入関税の引き上げによって家計の購買力が低下し、消費が減少しますが、一方でこのGDPに対するマイナスの影響は、輸入品価格の上昇によって消費者や企業が国内で生産された商品に切り替え、ひいては国内の需要が高まって輸出が減少する事で、一部相殺されます。分かり易く言えば、例えば車に輸入関税が課されると、外国製自動車の需要が減少する可能性があるものの、そのマイナスの影響は、国内生産自動車に対する需要の増加によって一部相殺されます。このため、GDPに対する影響は部分的に緩和されます。

 
‘‘
これが収益にどのような影響を与えるかは、企業の持つ価格決定力によります
 

多くの株価指数の構成銘柄に組み入れられているグローバル企業には、この緩和効果が発生しません。まず、輸入関税の引き上げに沿って自社製品の価格が上昇し、絶対的需要が減少します。さらに、その後顧客が国内生産商品にシフトすると、これらの企業は、効率性の高い立地から低い施設へ、多くの場合、規模の小さな現地施設に生産を移転しなければなりません。このため、売上高と利益率の低下に加えて、移転に関する設備投資費用も負担しなければなりません。

 
‘‘
価格決定力の強さ、反復的売上の多さ、サプライチェーンの厚みによって、利益率低下の厳しさが異なる
 

この例では、単純化され、完全に垂直統合された生産モデルを前提としています。実際、過去30年の間に世界は大幅に統合され、部品は、最も効率性の高い場所で製造され組み立てられます。例えばアップルは世界に200を超えるサプライヤーを有しているものの、そのほとんどはアジアにあり、中国の主要生産拠点に製品を納品します。中国から輸出される付加価値の高い電子・光学装置の中身で、中国で実際に製造されている部品は、装置の46%に過ぎません。このサプライチェーンが崩壊し、生産が複数の場所に分散された場合、バリューチェーン全体の規模や範囲の効果は失われます。

この効率性の損失が企業の収益に影響を与えるかどうかという問題は、価格決定力の強さや反復的売上の割合に大きく左右されます。大部分の業界において、企業はコストの上昇を顧客に転嫁するための価格決定力を持っておらず、需要の減少に伴い、収益は急減します。

 
‘‘
一部の企業は他よりも優れている
 

我々のボトムアップ投資アプローチは、企業のクオリティを評価する重要な構成要素として、価格決定力と反復的売上を重視しています。さらにリスクへのアプローチに関しては、特にサプライチェーンを含む企業の根本的なフランチャイズ(優位性)を脅かすような潜在的な問題に焦点を当てます。その結果、我々のポートフォリオは生活必需品、ソフトウェア・サービス、ヘルスケア・セクターへのウェイトが高くなる傾向があり、これらのセクターは他のセクターに比べて貿易戦争のシナリオにおいて回復力が高いと思われます。

生活必需品セクターの企業は、製品の多くは移動距離が長くないので、比較的短縮されたサプライチェーンを持つ傾向にあります。より重要なこととして、生活必需品の売上は通常、反復的な売上です。つまり、購入は定期的に行われ、先送りするのが困難です。

消費者は、新しい食器洗い機/車/携帯電話の購入を1年遅らせることはできますが、石鹸や洗剤、ベビーフード、ごみ袋は毎週/毎月購入する必要があります。さらに、これらの商品はそれぞれ適度な量で販売される傾向にあり、そのため他のセクターに比べて輸入関税や生産効率の低下を補うための価格引き上げを、容易かつ迅速に顧客に転嫁することができます。このセクターには他よりもブランド力や市場ポジションに優れた企業があり、それらは値上げや新商品によって業績をさらに改善できる可能性があります。

 
‘‘
「 我々のポートフォリオでは、貿易戦争のシナリオにおいて回復力が高いと思われるセクターのウェイトが高い傾向にあります」
 

ソフトウェア・サービス企業は、従来型のサプライチェーンは持っていないので、一般的な輸入関税による影響を、概して受け難いと言えます。関税が自社製品に適用された分については、力強い価格決定力によって顧客基盤全体に、全て転嫁することができます。例えば、製品がクラウドを通じた継続的なサブスクリプションモデルに既に移行している場合、製品供給者は顧客を経済状況の変化に取り込む効果的な手段を有しています。しかし、ひとつ懸念されるのは、人の動きに対する制限が見られる点であり、例えば、短期労働ビザの入手可能性が低下しています。これらの制限がマイナスの影響を与える可能性がある一方、この場合は、既にコストの高い場所に労働力の大部分を抱えていて、コストを販売価格に上乗せできるようなコンサルティング会社では、競争力が高まります。

ヘルスケアも、かなり短いサプライチェーンを持つ(従来型のサプライチェーンを持っていない)業界です。価値の大部分は、研究開発や非常に高度な生産能力にあります。極めて重要なことですが、これらの製品が特許で守られていることや複製が困難なこと、そして政府が医療支出の大部分を支払うことを考慮すると、ヘルスケア製品に対する輸入関税は極めてまれです。適用されたとしても、ヘルスケア製品供給者には価格決定力があるため最終顧客に輸入関税分を転嫁できます。

貿易戦争が売上高や利益率に深刻な影響を直接与えると思われるセクターは、資本財・サービス、素材、情報技術のハードウェアであり、これらではコストの上昇を顧客に転嫁する能力が限られていることや、一部では、過去10 年間に構築した規模が大きく複雑なサプライチェーンに依存していることが、問題の要因となっています。

我々のポートフォリオは、高い反復的利益や価格決定力を重視していることから、より堅固と考える生活必需品、ソフトウェア・サービス、ヘルスケアの3つのセクターに引き続き大きなウェイトを置きます。資本財サービス、素材、金融については、株価バリュエーションがやや改善しているものの、引き続き慎重な見方を維持します。

 
 

本書は、インターナショナル・エクイティ運用チームが作成したレポートを、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント株式会社が翻訳したものです。本書と原文(英語版)の内容に相違がある場合には、原文が優先します。

本書はグローバル・フランチャイズ運用戦略に関する情報提供を目的として作成したものであり、法令に基づく開示書類ではありません。本書は信頼できると判断した情報を元に、十分な注意を払い作成しておりますが、その正確性や完全性をお約束するものではありません。本書の内容は作成時点のものであり、将来予告なく変更されることもあります。本書中のグラフ、数値等は過去のものであり、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。また、特定の銘柄及び市場等全般の推奨や価格の上昇又は下落を示唆するものではありません。

当社の事前の許可無く、本書を第三者へ交付することはご遠慮下さい。

重要事項
本書は、当社の投資一任契約および投資顧問契約に関する業務に関連して提供されるものであり、特定の金融商品の取引や申込みの推奨や勧誘を目的とするものではありません。また、弊社は、本投資戦略によって運用されている金融商品の取引や申込みの推奨や勧誘を行うものではありません。

1. 投資一任契約の概要
投資一任契約は、お客様の資産の運用に関し、お客様があらかじめ運用の基本方針を定めた上で、有価証券の価値等の分析に基づく投資判断のすべてを当社に一任し、当社がこれをお引き受けするものです。お客様は投資を行うのに必要な権限を当社に委任し、当社は委任された権限を行使するにあたっては、当社の投資判断に基づきこれを行い、お客様は個別の指示を行わないものとします。

2. 元本損失が生ずることとなるおそれ
受託資産の運用には、受託資産に組入れられた株式その他の有価証券等の価格変動リスク、株式その他の有価証券等の発行体の信用リスク及び株式その他有価証券等を売却あるいは取得する際に市場に十分な需要や供給がないため、十分な流動性の下で取引を行えない、または取引が不可能となる流動性リスク等による影響を受けます。また、外貨建て資産に投資するため為替変動リスクの影響を受けます。受託資産の運用による損益はすべてお客様に帰属し、元本が保証されているものではなく、元本損失が生ずることとなるおそれがあります。

3. 投資一任契約締結に際しての留意事項
受託資産の運用は、個別の受託資産ごとに投資対象資産の種類や投資制限、取引市場、投資対象国等が異なることから、リスクの内容や性質が異なりますので、投資一任契約を締結する際には、契約締結前交付書面をよくご覧ください。

リスクについて
当運用戦略は主に海外の有価証券等を投資対象とするため、当該有価証券の価格の下落により投資元本を割り込むことがあります。また、外貨建ての資産は為替変動による影響も受けます。従って、お客様の投資元本は保証されているものではなく、運用の結果生じた利益及び損失はお客様に帰属します。投資する可能性のある金融商品等には、価格変動リスク、信用リスク、流動性リスク、為替変動リスク、デリバティブ取引に伴うリスク、カントリーリスク等のリスクを伴います。

費用について
投資一任契約に基づいて直接投資をする場合の費用
投資顧問料率
25億円までの部分に対して          0.864%(税抜 0.800%)
25億円超50億円までの部分に対して             0.810%(税抜 0.750%)
50億円超100億円までの部分に対して           0.756%(税抜 0.700%)
100億円を超える部分に対して     0.702%(税抜 0.650%)
※ 表記の料率は年率表示です
※ 上記以外に投資一任契約に基づいて投資信託に投資する場合の報酬体系は上記と異なる場合があります
※ 契約資産の性質・運用方法等により、お客様と協議の上、最低受託額、受託額及び投資顧問料率を別途取り決めることがあります
※ 税込料率は法律に定められる税率が適用されます
また、投資一任契約に基づく組入資産の売買手数料、保管費用等をお客様にご負担いただきます。(当該手数料等につきましては、運用状況等により変動するため、事前に料率やその上限額等を表示することができません。)

最低受託金額
効率的な運用を実現するという観点から、個別口座の最低受託金額を50億円と設定しております。
《ご注意》
上記に記載している費用項目につきましては、一般的な投資一任契約を想定しております。受託資産の運用に係るリスクや費用については、投資一任契約を締結する際に、事前に契約締結前書面をご覧ください。
投資一任契約に基づいて投資信託に投資する場合の費用
組入れ予定の投資信託は、弊社がお客様と締結する投資一任契約に基づいて投資を行うための専用ファンドであり、当該目的での利用に限定しております。

投資顧問料率
一律0.81%(税抜0.75%)
組入れる投資信託で弊社が運用報酬を受領する場合、上記料率から控除して投資顧問報酬額を算出します。

•   組入れ予定の弊社設定投資信託から弊社が受領する運用報酬はございません。したがって、投資顧問報酬額は上記の年率0.75%(税抜)で計算されます。
•   表記の料率は年率表示です。
•   契約資産の性質・運用手法等により、お客様と協議の上、別途報酬額を取り決める場合があります。
•   税込料率は法律に定められる税率が適用されます。

投資信託にかかる費用
信託報酬                        年率0.054%(税抜 年率0.05%)内、委託者報酬(運用報酬) ありません
信託財産留保(相当)額    基準価額に0.20%を乗じた額(解約時)

•   販売手数料はございません
•   当該投資信託に関する以下のその他の費用を、投資信託財産で間接的にご負担いただきます

- 組入有価証券を売買する際に生じる取引費用
- 外貨建資産の保管費用
- 信託事務の処理に要する諸費用
- 受託会社の立替えた立替金の利息
- 投資信託財産に関する租税
- 投資信託財産に係る監査報酬
- 法律顧問に対する報酬
- 投資信託約款および受益者に対する報告書の作成、印刷および交付に係る費用
- 公告および投資信託約款の変更および解約に関する書面の作成、印刷および交付に係る費用
- 投資信託振替制度に係る手数料および費用等
(上記その他の費用については、当該投資信託の運用状況等により変動するため、事前に料率やその上限額等を表示することができません)

上記投資顧問報酬(0.75%)と上記投資信託の信託報酬(0.05%)の合計は、0.80%(年率、税抜)となります。