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グローバル・エクイティ・オブザーバー
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2023年10月2日

買収すべきか、買収すべきでないか?

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2023年10月2日

買収すべきか、買収すべきでないか?


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買収すべきか、買収すべきでないか?

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2023年10月2日

 
 

「買収すべきか、買収すべきでないか」は、すべての経営陣や取締役会が、企業戦略や資金配分計画の一環として検討する必要があると考えられる課題です。合併・買収(M&A)は誘惑的な場合も多く、時には対価が得られることもある一方で、リスクの低いM&Aは稀です。経営陣は、株主の最良の利益ではなく、自らの願望に重点を置くことの方がはるかに多いと言えます。そのため、私たちはM&Aに対してある程度懐疑的な見方を持ち、各ケースにおいて、M&Aが株主資本の適切な配分であるかどうかと疑問を呈します。

 
 

質の高い投資先を探し求めている長期投資家として、私たちは保有する企業の経営陣が資本の適切な配分者であることを非常に重視しています。その理由は何でしょうか。約5%のフリーキャッシュフロー利回りでの株式取引を想定します。その銘柄は今後5年間において、時価総額の約25%に相当するフリーキャッシュフローを生み出すと考えられます。長期の保有者の観点からすると、経営陣がこのキャッシュフローを上手く配分すること(堅実なバランスシートを維持、配当を支払う、自社株買いを行う、あるいは道理にかなった買収先を見出すことなど)が絶対に不可欠です。

 
 
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私たちが見つけた優れた買収者としての実績を有する企業は、ほんの僅かである
 
 
 

ほとんどの場合、投資先企業の経営陣に私たちが求めるのは、ウォール街のディールメーカーの誘惑に負けるのではなく、既存の経営の改善に重点を置くことです。しかし、私たちは概して買収に対して懐疑的であるものの、「優れた買収者」としての実績を有し、さらに重要なこととして、今後も適切な買収を継続することができると考えられる一握りの企業を知っています。

買収を企てる企業の評価

買収を企てる企業を評価する上では、細心の注意が必要となります。個別の買収のメリットを検討するだけではなく、買収によってコア事業の基本的なトレンドを評価することが困難になるといった事実も、考慮に入れる必要があります。常習的な買収者は、自らのコア事業における基本的な衰退を覆い隠すために、買収を行っている可能性があります。これらの企業が、低いリターンでしか成長することができないリスクを抱えていることを踏まえると、私たちは投資家として、そうした銘柄に投資することを避けたいと考えています。

当社の投資プロセスでは、負債を抑えた上で、持続的に高い投下資本利益率を生み出している企業を選好しています。買収を企てる企業に関して我々が重視するのは、買収における投下資本利益率を測定して、その企業が株主価値を創造するのか、それとも破壊するかのどうかを評価することです。そのために私たちは、M&Aに関連するすべての無形資産からの利益に基づく、「オールイン」の投下資本利益率を測定します。

優れた買収者とは?

成功を収めている買収者は、「オールイン」のリターンを維持し、これらの高いリターンが継続するとの信頼を生み出すような買収戦略を実行することができます。ポートフォリオにおいて最も成功を収めている幾つかの買収者は、様々なアプローチを採用していますが、これらの買収者に共通していることはリターンに重点を置き、結果として、買収のバリュエーションに関して堅固な規律を持っていることです。そもそも、質の高い企業である事が重要で、なぜならば、事業に失敗したことで空いた穴を埋めるために買収を行う必要性はありません。必要に迫られてやむなく買収を行えば、バリュエーション規律を失うことにつながる可能性がはるかに高くなり、同時にバランスシートを過度に拡大させることにもなりかねません。

一般的に、優れた買収者は事業の多角化を追求するのではなく、自らの専門分野における買収案件に着目します。そうした案件は通常、変革を起こすものではなく、小規模なものになる傾向があります。また優れた買収者は、事業再編が必要な企業を対象とするのではなく、良好な成長見通しを有する良い企業に注目する傾向もあります。被買収企業を上手く統合することが重要であり、買収完了後は中央集権的では無いビジネスモデルを採用する場合が多いと言えます。

優れた買収者 — 稀なタイプ

他の企業よりも買収を行うのに適した企業が存在しており、特に幅広い顧客基盤の恩恵を受けており、それらの顧客との深い関係を築いている企業がそれに該当します。私たちが保有している、米国のITコンサルタント企業やライフサイエンス企業は、特に好例であると言えます。これらの企業は商品またはサービスを買収し、自らの顧客基盤全体にわたりそれらを販売することができます。これにより、売上のシナジー効果を高めることができ、結果として、同じ買収価格を支払ってもその他の潜在的買収者が達成できないようなリターンを得ることができます。

買収する企業のファンダメンタルズの変革を可能にする、経営において卓越した文化を持っている企業も存在しています。こうした文化により、買収後にコスト削減や高い成長を達成することが可能となりますし、これを真似することができる買収者は、非常に数が限られています。さらに買収におけるバリュエーション規律が加われば、株主に素晴らしいリターンをもたらすことが可能となります。当社が保有する別の米国のライフサイエンス企業は、優れた業界において潜在能力があるにもかかわらず、それを発揮できていない企業を優良企業に変容させた素晴らしい実績を有しています。また、私たちはコネクターのデザインと製造を手掛ける米国の大手企業も保有しており、この会社には長年にわたる買収戦略があり、これにより、細分化されたコネクター業界における同社の地位が強化されています。同社は買収に明確なメリットを与えていて、特に買収した企業の販売がグローバル化され、製造コストを抑えることが可能となっています。

もう1つの戦略は、多くの場合、買収する企業が買収される企業に長期的な居場所を提供することで、自らを「選ばれる買収者」として位置づけることであり、特に買収される企業が同族企業である場合に、「長期的な居場所を提供すること」が重要であると言えます。これにより、競合する入札者との競争を少なくすることができるため、買収価格を妥当な水準に抑えることができます。これらの企業は、事業の運営と買収の両方で豊富な経験を有する分野において買収を行っている場合が多いことから、買収後に企業の業績を向上させることが可能となります。私たちは、安全・医療・環境の個人向け事業を行っているFTSE 100指数を構成する(つまり英国の)情報技術企業や、カナダの垂直統合型の(つまり複数の別個事業を展開する)ソフトウェア会社を保有しており、両社はこのタイプの買収者の例です。両社は、潜在的な買収ターゲットを探す上で長期的なアプローチを採用していることに加え、リターンを非常に重視しており、経営陣は「自らの行った買収に責任を負う」必要があり、長期のインセンティブ計画の半分を総投下資本利益率に連動させています。

結論

長期の投資家にとって、資本配分は非常に重要です。M&Aは資本配分の特別な選択肢の1つです。一般的に、M&Aはリスクの高い選択肢であると言えます。ただし、高クオリティ投資における綿密なリサーチや豊富な経験を通じて、私たちは、買収を企てる企業が高クオリティである事はパラドックスではない(矛盾していない)ことを確認しております。世の中には、また私たちが保有している企業の中には、比較的低リスクの買収に実績のある企業が存在しており、これらの企業は株主のリターンを大幅に増やし、再現可能なプロセスであると思われる買収戦略を有しています。

 
marcus.watson
マネージング・ディレクター
インターナショナル・エクイティ運用チーム
 
richard.perrot
エグゼクティブ・ディレクター
インターナショナル・エクイティ運用チーム
 
 
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本書は、インターナショナル・エクイティ運用チームが作成したレポートを、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント株式会社が翻訳したものです。本書と原文(英語版)の内容に相違がある場合には、原文が優先します。

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1. 投資一任契約の概要
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2. 元本損失が生ずることとなるおそれ
受託資産の運用には、受託資産に組入れられた株式その他の有価証券等の価格変動リスク、株式その他の有価証券等の発行体の信用リスク及び株式その他有価証券等を売却あるいは取得する際に市場に十分な需要や供給がないため、十分な流動性の下で取引を行えない、または取引が不可能となる流動性リスク等による影響を受けます。また、外貨建て資産に投資するため為替変動リスクの影響を受けます。受託資産の運用による損益はすべてお客様に帰属し、元本が保証されているものではなく、元本損失が生ずることとなるおそれがあります。

3. 投資一任契約締結に際しての留意事項
受託資産の運用は、個別の受託資産ごとに投資対象資産の種類や投資制限、取引市場、投資対象国等が異なることから、リスクの内容や性質が異なりますので、投資一任契約を締結する際には、契約締結前交付書面をよくご覧ください。

リスクについて
当運用戦略は主に海外の有価証券等を投資対象とするため、当該有価証券の価格の下落により投資元本を割り込むことがあります。また、外貨建ての資産は為替変動による影響も受けます。従って、お客様の投資元本は保証されているものではなく、運用の結果生じた利益及び損失はお客様に帰属します。投資する可能性のある金融商品等には、価格変動リスク、信用リスク、流動性リスク、為替変動リスク、デリバティブ取引に伴うリスク、カントリーリスク等のリスクを伴います。

費用について
投資一任契約に基づいて直接投資をする場合の費用
投資顧問料率
25億円までの部分に対して          0.864%(税抜 0.800%)
25億円超50億円までの部分に対して             0.810%(税抜 0.750%)
50億円超100億円までの部分に対して           0.756%(税抜 0.700%)
100億円を超える部分に対して     0.702%(税抜 0.650%)
※ 表記の料率は年率表示です
※ 上記以外に投資一任契約に基づいて投資信託に投資する場合の報酬体系は上記と異なる場合があります
※ 契約資産の性質・運用方法等により、お客様と協議の上、最低受託額、受託額及び投資顧問料率を別途取り決めることがあります
※ 税込料率は法律に定められる税率が適用されます
また、投資一任契約に基づく組入資産の売買手数料、保管費用等をお客様にご負担いただきます。(当該手数料等につきましては、運用状況等により変動するため、事前に料率やその上限額等を表示することができません。)

最低受託金額
効率的な運用を実現するという観点から、個別口座の最低受託金額を50億円と設定しております。
《ご注意》
上記に記載している費用項目につきましては、一般的な投資一任契約を想定しております。受託資産の運用に係るリスクや費用については、投資一任契約を締結する際に、事前に契約締結前書面をご覧ください。
投資一任契約に基づいて投資信託に投資する場合の費用
組入れ予定の投資信託は、弊社がお客様と締結する投資一任契約に基づいて投資を行うための専用ファンドであり、当該目的での利用に限定しております。

投資顧問料率
一律0.81%(税抜0.75%)
組入れる投資信託で弊社が運用報酬を受領する場合、上記料率から控除して投資顧問報酬額を算出します。

•   組入れ予定の弊社設定投資信託から弊社が受領する運用報酬はございません。したがって、投資顧問報酬額は上記の年率0.75%(税抜)で計算されます。
•   表記の料率は年率表示です。
•   契約資産の性質・運用手法等により、お客様と協議の上、別途報酬額を取り決める場合があります。
•   税込料率は法律に定められる税率が適用されます。

投資信託にかかる費用
信託報酬                        年率0.054%(税抜 年率0.05%)内、委託者報酬(運用報酬) ありません
信託財産留保(相当)額    基準価額に0.20%を乗じた額(解約時)

•   販売手数料はございません
•   当該投資信託に関する以下のその他の費用を、投資信託財産で間接的にご負担いただきます

- 組入有価証券を売買する際に生じる取引費用
- 外貨建資産の保管費用
- 信託事務の処理に要する諸費用
- 受託会社の立替えた立替金の利息
- 投資信託財産に関する租税
- 投資信託財産に係る監査報酬
- 法律顧問に対する報酬
- 投資信託約款および受益者に対する報告書の作成、印刷および交付に係る費用
- 公告および投資信託約款の変更および解約に関する書面の作成、印刷および交付に係る費用
- 投資信託振替制度に係る手数料および費用等
(上記その他の費用については、当該投資信託の運用状況等により変動するため、事前に料率やその上限額等を表示することができません)

上記投資顧問報酬(0.75%)と上記投資信託の信託報酬(0.05%)の合計は、0.80%(年率、税抜)となります。