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2023年インベストメント・アウトルック
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2022年12月30日

株式:物事には必ず終わりがくる

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2023年インベストメント・アウトルック

株式:物事には必ず終わりがくる

株式:物事には必ず終わりがくる

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2022年12月30日

 
要旨
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短期的にはマクロ要因がパフォーマンスを左右するかもしれませんが、私たちは引き続き投資先企業のファンダメンタルズと長期的なコンパウンダーとしての可能性に注目しています。

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長期的には株式がアウトパフォームする可能性が高いと考えています。というのも、株式に投資することによって何十万人もの有能な労働者の創造性、創意工夫、生産性を手に入れることになるからです。

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資本コストの上昇は、新規参入者の減少や競争の低下をもたらし、すでに価値ある事業とブランドを確立している企業に利益をもたらすと考えます。

 
 

私たちはこれまで、全体市場の見通しというものをもったことはありません。なぜなら、マクロ予測に基づいて投資判断を下すことは徒労に終わると考えているためです。しかし、ミクロ経済やマクロ経済が、私たちが保有する企業の事業ファンダメンタルズとコスト構造にどのような影響を与えるかについては常に考慮しています。

市場の状況

  • 金利上昇、インフレ、地政学的な緊張によって、不確実性と性格の異なるボラティリティがもたらされ、世界中の企業心理に影響し、株価の下落を招きました1。
  • ガイダンスにこだわる市場参加者は、短期的な予測にますます固執するようになり、企業の基本的なファンダメンタルズや長期的な成長の可能性を見ることを忘れています。
  • 米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ抑制のために政策金利を引き上げたことにより、年初来ドル高が進行し、製品・サービスの輸出やドル建て以外の売上を持つ企業の収益力に影響を及ぼしています。
  • 短期的にはこうした非ファンダメンタルズ要因がパフォーマンスを左右するかもしれませんが、私たちが保有するタイプの事業にとっては、こうした逆風が、その長期的なキャッシュ創出力や本質的価値に重大な影響を与える可能性は低いと考えています。
     

投資行動・今後の方針

  • 株式が長期に渡り、最良のパフォーマンスを上げる可能性が高い資産クラスであるとの私たちの考えに変わりはありません。というのも、株式に投資することによって何十万人もの有能な労働者の創造性、創意工夫、生産性を手に入れることになるからです。お金は膨らませることはできますが、才能はそういうわけにはいきません。
  • 市場の短期的な騰落や、エコノミストや評論家の予測に時間を費やしても意味はありません。その代わりに、投資先企業のコンパウンダーとしての可能性とファンダメンタルズに注目します。
  • 保有企業の事業の競争優位性とクオリティ特性について継続して再評価を行なっています。顧客への価値提供力、成長性、収益力、経営陣の実績、参入障壁の方向性と規模、短期および長期の資金需要などが、企業を評価する際の主な点検項目です。
  • 特に、知的財産権関連や自動化・生産性の向上などの分野での魅力的な事業機会に注目しています。こうした事業はわずかな追加投資で売上を大きく伸ばすことが可能だと考えています。
  • 一方、コモディティに関連したセクターは避けるようにしています。その理由は、資本集約的な事業であること、価格が予測できないこと、そして負債が過小評価されていることです。
  • 欧州の企業にとってはドル高とエネルギー価格の上昇が大きな逆風となっていますが、局地的には投資の好機も生まれています。なぜなら、非常に魅力的な企業なのに、どこに拠点があるかということだけで株価が過小評価されている場合があると思われるからです。
     

今後の注目点

  • 米国のインフレがピークに達したかどうかを判断するのは時期尚早ですが、投入コストの低下が投資先企業の利益率の改善につながる可能性について注目しています。
  • 資本コストの上昇が長期的にどのような影響をもたらすのか、ひいては全体的な競争環境がどのように変わっていくのかについて引き続き評価を行なっています。金融緩和の時期は過去となり、新規参入のハードルが上がって競争が少なくなることが予想されるため、すでに価値ある事業やブランドを確立している企業に利益をもたらすと考えます。
  • 新興企業や革新的な企業にとって、これまでは(ストックオプションなどの)株式ベースの報酬制度が低コストの資金調達メカニズムでした。しかし最近の株価下落を鑑みるに、今後はキャッシュによる報酬制度の利用が増えるのか、またそれによる収益性や希薄化への影響についても注目しています。
  • 投資先企業は、コスト構造をますます重視しており、コストを減らすことによってフリーキャッシュフローの収益性を改善しようとしているように見えます。果たしてプライスの法則(貢献度の50%は、全参加者数の平方根の人数によってもたらされているという法則)は当てはまるのでしょうか。
 
 
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株式が長期に渡り、最良のパフォーマンスを上げる可能性が高い資産クラスであるとの私たちの考えに変わりはありません。というのも、株式に投資することによって何十万人もの有能な労働者の創造性、創意工夫、生産性を手に入れることになるからです。お金は膨らませることはできますが、才能はそういうわけにはいきません。
 
 
 

1ただし、私たちはボトムアップ型のファンダメンタルズ重視の投資家であり、必ずしも株価の変動が即ちリスクであると考えてはいないことにご留意ください。

 
manas.gautam
グローバル・エンデュランス責任者、 カウンターポイント・グローバル株式運用チーム
 
 

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