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グローバル・エクイティ・オブザーバー
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2020年3月12日
第二の山
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2020年3月12日

第二の山


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第二の山

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2020年3月12日

 
 

デビッド・ブルックスは、最近の著書の中で、私たちは成長するにつれて、登る運命にあった「最初の山」を越える事で自己欲求の充足や個人目標を超え、そして次に他者を助けたり公益に関わったりすることで充実感を覚えることができる第二の山に登らなければならないと論じています。最近は環境と社会的な課題により、企業が利益だけでなく目的に焦点を当てる機会が多くなっている中、この議論を個人だけではなく企業(さらにはファンド・マネジャー)にも当てはめることは難しくありません。

 
 

経済学者のミルトン・フリードマンが、企業の唯一の目的は株主のために利益を生むことであると主張してから、現在、半世紀が経過しました。また、フリードマンは成功した企業が納税することで社会に恩恵をもたらすという素晴らしい考えも唱えていましたが、後者は特にビジネス界では、前者ほど浸透していません。この考えは過去50年間にわたり、ある程度不変の真実のように見えました。しかし、世界のトップ企業(我々が運用するポートフォリオで所有している世界有数の多国籍企業を含む)で構成される経営者団体、米国ビジネス・ラウンドテーブルが昨年発表した声明は、おそらくフリードマンの主張を見直すタイミングとなる重大な転機となりました。現実には、持続可能性や耐久性をより全体的な視点から捉えることが企業と世界にとって重要なのではないか。特に、声明に署名した企業が、株主に対して長期的に価値を生み出し続けるという公約とともに、

 
 
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最近は環境と社会的な課題により、企業が利益だけでなく目的に焦点を当てる機会が多くなっている。"
 
 
 

顧客、従業員、供給業者および地域社会へのコミットメントを表明したことは重要です。

クオリティの高い企業に長期投資をしている私たちから見れば、これは優れたビジネス慣行であり、常識とさえ思えます。ビジネス・ラウンドテーブルで言及されたステークホルダー4者を取り上げれば、それぞれがなぜ重要であるかを示す明白な例があります。

  • 消費者:生活必需品企業の世界では、特にソーシャルメディアにより消費者の目がさらに厳しくなる中、企業が成功するには、実際に恩恵をもたらす「パフォーマンス」製品を提供しなければならないことが一段と鮮明になっています。
  • 従業員:スキルの高い従業員に依存する多くのセクター、特にソフトウェア・ITサービスでは、スタッフを採用し、動機付け、つなぎ止めることができるかが、競争優位性を維持する上で不可欠な源泉となっています。
  • 供給業者:作業者の安全性や環境への影響に関連して、企業はサプライチェーン全体に対してさらに責任を負うようになっています。
  • 地域社会:地域社会がおおむね消費者で成り立っているという明らかな点以外にも、企業は貿易、税金、独占禁止、データの機密性、環境などに関する、昨今一段と厳しくなる政治環境や規制環境に対応しなければなりません。
 
 
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我々が運用するポートフォリオは、社会的なインパクトではなくパフォーマンスを考慮して設計されていますが、インパクトが長期的にパフォーマンスに影響を及ぼすことがますます明白になっています。"
 
 
 

私たちにとって、「正しいことを行う」ことと長期的な成功の間にはトレードオフ(二律背反)はありません。長期にわたり成功するためには、企業は「正しいことを行う」必要があります。私たちは当初から、我々が運用するポートフォリオが社会的なインパクトではなくパフォーマンスを目的に設計されていることを明らかにしてきましたが、企業が、二酸化炭素、プラスチック廃棄物、個人情報の漏洩など、自らが生み出す外部への影響に一段と責任を負うようになる中、インパクトが長期的にパフォーマンスに影響を及ぼすことがますます明白になっています。

よりポジティブに捉えると、新たな考え方をすれば、リスクだけでなく事業機会もあります。目的主導型ブランドや、従業員や規制当局の意向に従ったブランドが業績に貢献する可能性があるためです。このことは、市場シェアの獲得、価格決定力、よく指導された従業員が規制状況を遵守している、という形で表れます。ユニリーバのアラン・ジョープ最高経営責任者(CEO)は、「目的が利益に代わるのではなく、目的を通じて利益を生む」という方針を掲げています。消費者は、求めるものと合致した価値を明確に発信するブランドを購入する可能性が高いと言い換えることができます。

 
 
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気候変動危機、ソーシャルメディアの普及、政治環境の不確実性を考慮すると、投資先企業にとって環境・社会要因がより重要になってきています。"
 
 
 

コンパウンダーに投資する際に、私たちは常に長期投資を重視しています。私たちの投資先企業は株式市場全体よりも景気循環性が低い傾向にあり、戦略的に強固なポジションを確立しています。そのため、ESG要因が、高いリターンの維持を脅かす要因リストの最上位にあり、よって、かねてよりガバナンスが重視されてきました。気候変動危機、ソーシャルメディアの普及、政治環境の不確実性を考慮すると、過去数年の間に、投資先企業にとって環境・社会要因がより重要になってきています。これに対して私たちは投資プロセスにESG要因を統合することで対応してきました。その結果、私たち運用チームは時として自らの第二の山を登り、定量化が困難なことが多いESGのリスクと機会を理解しようと挑戦しているように感じています。

その他の課題を数値化するのは容易でなく、以下のような興味深い会話が運用チーム内で起きています。

  • データ漏洩などの甚大なコストが生じる可能性のある、可能性の低いテールリスク・イベントをどのように考えるのか?
  • どのリスクが、私たちのモデルにおいて企業の資本コストまたは期間成長率を変更するのに値するほど重大であるのか?
  • 多様性にどのような価値を置き、欠けている場合はどのようなコストを見込むのか? 企業文化は不可欠であるが、測定可能なのか?
     

このような文脈で、私たちは企業のESGを採点する方法を独自に開発してきました。この採点方法では、個別銘柄の重要な課題や論点のみならず、環境を脅かす二酸化炭素排出、安全性、データ、規制、多様性などの「世界的な」緊急課題に測定基準を設定する事に、リスクや事業機会に関わらず重点的に取り組みます。その結果が十分に重要である場合には、期待株価モデルの数値、評価方法、またはポートフォリオにおける保有ウェイトがはっきりした形で調整されます。

生活必需品企業が再生プラスチックを全面的に使用するのに40%のプレミアムを支払う(または適応できない場合は成長率が引き下げられる)ことで、年間約30ベーシス・ポイントの追加コストが発生する可能性があるなど、我々に馴染みのある指標に数値化することが比較的容易な場合もあります。同様に、法人税引き上げのリスクを、企業の現在の税率と企業が事業を展開する国の売上高加重平均税率とを比較することで測ることができます。二酸化炭素排出に対する1トン当たり100ドルの課税の影響をモデル化することさえ可能です。幸いにも、投資先のグローバル企業の二酸化炭素排出量は、売上高100万ドル当たりの二酸化炭素排出トン数に基づくと、インデックスよりも87~89%低く、十分に管理可能です1

 
 
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すべてに回答できてはいませんが、外注ではなく自らのチームでこれらの課題に取り組み、投資先企業にエンゲージしてきた経験を提供することができます。"
 
 
 

私たちはこれまでのように、現実主義者、アーティスト、科学者であり続け、課題が明確であることは滅多にないことを認識しています。私たちはファンダメンタルズに基づいたボトムアップ型の投資を実践していますが、一段と複雑化する世界において投資に対する理解をさらに深めようとしています。投資先企業のポジティブな活動とネガティブな活動がそれぞれリターンに及ぼす影響を、十分に客観的に評価できるよう取り組んでいます。正直なところすべてに回答できておらず、すべてに回答することはできないでしょう。私たちが提供出来るのは、真に長期的な見通し、外注ではなく自らのチームでこれらの課題に取り組む事、投資先企業にエンゲージしてきた経験、セクター・個別銘柄に対する豊富な専門知識に基づいた、カギとなる課題の特定・分析です。お客様とともに第二の山を登ることができれば光栄です。

 
 

1出所: MSCI、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント、2019年12月31日現在

 

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bruno.paulson
マネージング・ディレクター
インターナショナル・エクイティ運用チーム
 
laura.bottega
マネージング・ディレクター
 
 
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本書は、インターナショナル・エクイティ運用チームが作成したレポートを、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント株式会社が翻訳したものです。本書と原文(英語版)の内容に相違がある場合には、原文が優先します。

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重要事項
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1. 投資一任契約の概要
投資一任契約は、お客様の資産の運用に関し、お客様があらかじめ運用の基本方針を定めた上で、有価証券の価値等の分析に基づく投資判断のすべてを当社に一任し、当社がこれをお引き受けするものです。お客様は投資を行うのに必要な権限を当社に委任し、当社は委任された権限を行使するにあたっては、当社の投資判断に基づきこれを行い、お客様は個別の指示を行わないものとします。

2. 元本損失が生ずることとなるおそれ
受託資産の運用には、受託資産に組入れられた株式その他の有価証券等の価格変動リスク、株式その他の有価証券等の発行体の信用リスク及び株式その他有価証券等を売却あるいは取得する際に市場に十分な需要や供給がないため、十分な流動性の下で取引を行えない、または取引が不可能となる流動性リスク等による影響を受けます。また、外貨建て資産に投資するため為替変動リスクの影響を受けます。受託資産の運用による損益はすべてお客様に帰属し、元本が保証されているものではなく、元本損失が生ずることとなるおそれがあります。

3. 投資一任契約締結に際しての留意事項
受託資産の運用は、個別の受託資産ごとに投資対象資産の種類や投資制限、取引市場、投資対象国等が異なることから、リスクの内容や性質が異なりますので、投資一任契約を締結する際には、契約締結前交付書面をよくご覧ください。

リスクについて
当運用戦略は主に海外の有価証券等を投資対象とするため、当該有価証券の価格の下落により投資元本を割り込むことがあります。また、外貨建ての資産は為替変動による影響も受けます。従って、お客様の投資元本は保証されているものではなく、運用の結果生じた利益及び損失はお客様に帰属します。投資する可能性のある金融商品等には、価格変動リスク、信用リスク、流動性リスク、為替変動リスク、デリバティブ取引に伴うリスク、カントリーリスク等のリスクを伴います。

費用について
投資一任契約に基づいて直接投資をする場合の費用
投資顧問料率
25億円までの部分に対して          0.864%(税抜 0.800%)
25億円超50億円までの部分に対して             0.810%(税抜 0.750%)
50億円超100億円までの部分に対して           0.756%(税抜 0.700%)
100億円を超える部分に対して     0.702%(税抜 0.650%)
※ 表記の料率は年率表示です
※ 上記以外に投資一任契約に基づいて投資信託に投資する場合の報酬体系は上記と異なる場合があります
※ 契約資産の性質・運用方法等により、お客様と協議の上、最低受託額、受託額及び投資顧問料率を別途取り決めることがあります
※ 税込料率は法律に定められる税率が適用されます
また、投資一任契約に基づく組入資産の売買手数料、保管費用等をお客様にご負担いただきます。(当該手数料等につきましては、運用状況等により変動するため、事前に料率やその上限額等を表示することができません。)

最低受託金額
効率的な運用を実現するという観点から、個別口座の最低受託金額を50億円と設定しております。
《ご注意》
上記に記載している費用項目につきましては、一般的な投資一任契約を想定しております。受託資産の運用に係るリスクや費用については、投資一任契約を締結する際に、事前に契約締結前書面をご覧ください。
投資一任契約に基づいて投資信託に投資する場合の費用
組入れ予定の投資信託は、弊社がお客様と締結する投資一任契約に基づいて投資を行うための専用ファンドであり、当該目的での利用に限定しております。

投資顧問料率
一律0.81%(税抜0.75%)
組入れる投資信託で弊社が運用報酬を受領する場合、上記料率から控除して投資顧問報酬額を算出します。

•   組入れ予定の弊社設定投資信託から弊社が受領する運用報酬はございません。したがって、投資顧問報酬額は上記の年率0.75%(税抜)で計算されます。
•   表記の料率は年率表示です。
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•   税込料率は法律に定められる税率が適用されます。

投資信託にかかる費用
信託報酬                        年率0.054%(税抜 年率0.05%)内、委託者報酬(運用報酬) ありません
信託財産留保(相当)額    基準価額に0.20%を乗じた額(解約時)

•   販売手数料はございません
•   当該投資信託に関する以下のその他の費用を、投資信託財産で間接的にご負担いただきます

- 組入有価証券を売買する際に生じる取引費用
- 外貨建資産の保管費用
- 信託事務の処理に要する諸費用
- 受託会社の立替えた立替金の利息
- 投資信託財産に関する租税
- 投資信託財産に係る監査報酬
- 法律顧問に対する報酬
- 投資信託約款および受益者に対する報告書の作成、印刷および交付に係る費用
- 公告および投資信託約款の変更および解約に関する書面の作成、印刷および交付に係る費用
- 投資信託振替制度に係る手数料および費用等
(上記その他の費用については、当該投資信託の運用状況等により変動するため、事前に料率やその上限額等を表示することができません)

上記投資顧問報酬(0.75%)と上記投資信託の信託報酬(0.05%)の合計は、0.80%(年率、税抜)となります。