フラッシュ・レポート
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2019年3月13日
まだ危機を脱したわけではない
 

フラッシュ・レポート

まだ危機を脱したわけではない

まだ危機を脱したわけではない

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2019年3月13日

 
 

1月に市場は反発し、MSCIワールド・インデックスは8%近く上昇しました。公正に見て、市場回復の背景には好材料がいくつかあることは確かです。2018年第4四半期、市場に忍び寄った3匹の狼が貿易戦争、中国および米連邦準備制度理事会(FRB)であったことに疑いはなく、これらすべてが1月の反発の要因となりました。米中間の貿易交渉は改善傾向に転じ、中国は成長の回復を目指して景気刺激策の本格導入を始動しました。最も劇的だったのは、米雇用統計が非常に好調な内容であり、雇用者数が30万人を上回ったにもかかわらず、狼から赤頭巾を救う木こりの如くパウエルFRB議長が1月にハト派姿勢を示し、市場だけでなく経験豊富なFEDウォッチャーさえも驚かせたことです1

これら3要因には改善が見られるものの、狼は未だ退治されず、赤頭巾は危機の只中であるとの我々の慎重な見方は変わっていません。この2年間で我々は米国の貿易政策の進展を予想することは不可能であるとの教訓を得ました。また、3月1日が発動期限である対中国追加関税の「爆弾」を処理するための道のりは長いと言えます。さらに、貿易の長期的かつ主要な脅威は、工業製品や農産物の関税よりもテクノロジー分野を巡るものになると予想されます。関税に関する交渉は間違いなく可能ですが、テクノロジー分野で交渉を成功させるのは格段に困難です。昨今の米国の政治的傾向として、覇者米国と挑戦者中国の主戦場はテクノロジーに移行しています。ファーウェイのCFOがカナダで逮捕されたことは、この緊張の高まりの一つの兆候であり、世界的なテクノロジーのバリューチェーンが二つの別のシステムに分断されるかもしれず、テクノロジーのハードウェア・セクターに非常に大きな影響を及ぼします。

 
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10 – 12月期に市場に忍び寄った3匹の狼(貿易戦争、中国およびFRB)が1月の反発の要因
 

同様に、中国の景気刺激策が効果を上げるのか定かでありません。中国政府は、これまでリフレ策を成功させつつ世界経済をけん引してきましたが(世界金融危機後が最も顕著)、中国経済の規模が拡大し、複雑化し、債務が膨張するにつれ、それも一段と困難になるでしょう。また、中国は今年国内消費重視を打ち出しており、中国以外の国はさほど恩恵を受けない可能性があります。

FRBのハト派姿勢は資産市場に当然プラスに作用します。一方で、自動的な金融引き締めが起こる懸念が後退する中、労働力が不足すれば、FRBは大幅な引き締めに踏み切るのを余儀なくされるでしょう。足元で失業率は4%に低下し、賃金は低賃金層を中心に徐々に上昇しています2

1月の反発および赤頭巾の安全に関する我々の警戒は、前述の3つの懸念、すなわち3匹の狼を巡るものだけではありません。新たな狼は、世界経済の同時減速だと考えられます。米国の減税効果は薄れ、欧州の成長率は非常に低水準にとどまり(予想指標である購買担当者景況指数(PMI)は2013年7月以来の最低水準3)、中国では景気刺激策導入の効果がまだ現れていません。足元の景気減速が企業収益に及ぼす影響が心配されます。米国では利益率に低下圧力がかかっており、第1四半期にはコスト上昇圧力を受けて前年同期比で減益が見込まれ、状況に追い打ちをかけています。2019年にMSCIワールド・インデックスが6%の増益、米国が第4四半期までに10%超の増益になるという今年の好調な成長予想は、多分達成されないでしょう。

 
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世界経済の同時減速が企業収益に及ぼす影響を懸念
 

1月に利益予想が特に米国で引き下げられたことを踏まえると、1月の市場の反発は完全にバリュエーションの上昇によるものです。MSCIワールド・インデックスの12カ月先予想利益ベースPER(株価収益率)は13.4倍から14.5倍に上昇しました。利益が実際に達成されるならば、PERは過去の水準よりも特に高いわけではありませんが、鈍化している世界経済を鑑みるにその達成は不確実です。市場は緩やかな景気減速しか織り込んでおらず、自己資本比率の低い企業はより深刻な景気後退に対し備えができていません。我々は利益見通しに関して懸念を抱いており、複利のように利益を増幅できるコンパウンダーを評価し続けます。コンパウンダーは、反復的売上と価格決定力により、売上と利益率維持し、利益を確保することができます。また、社債市場の流動性が逼迫しても、財務的に困難な状況に比較的耐性があるでしょう。

 
william.lock
 
インターナショナル・エクイティ運用チーム責任者
 
bruno.paulson
 
マネージング・ディレクター
 
dirk.hoffmannbecking
 
エグゼクティブ・ディレクター
 
 

1 出所:アメリカ合衆国労働省労働統計局、2019年2月1日

2 出所:アメリカ合衆国労働省労働統計局、2019年2月1日

3 出所:IHSマークイット社、2019年1月31日

 

本書は、インターナショナル・エクイティ運用チームが作成したレポートを、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント株式会社が翻訳したものです。本書と原文(英語版)の内容に相違がある場合には、原文が優先します。

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