フラッシュ・レポート
コンパウンダーがイソップ寓話のカメのように勝利する理由
 
 

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コンパウンダーがイソップ寓話のカメのように勝利する理由

 

イソップの寓話にカメがウサギと競う話があります。ウサギはもともと足が速いため、大きくリードしますが、慢心して昼寝したため、コツコツと歩いたカメが勝利します。投資の世界では話が若干異なります。初めはウサギがリードし、市場から途方もなく高水準のバリュエーションを得るでしょう。しかし残念ながら、四本足の毛でおおわれたウサギは不幸な結末を迎えます。農民またはその他の捕食動物に捕らえられるか、深刻な不況の中で凍え死ぬか、株価の乱高下のような荒れ模様の天気に振り回される可能性が高いでしょう。一方、カメは着実に歩き、おそらく厳しい環境下でも甲羅で身を守るでしょう。

 

複利のように利益を増幅できる“コンパウンダー銘柄”とカメがまったく同じわけではありません。なぜならば我々の保有するコンパウンダー銘柄は甲羅で覆われたのろのろしたカメよりも俊敏と思われるからです。そうは言っても、複利のように利益を増幅させることができるかどうかの鍵は、緩やかで安定した成長と高い利益率の持続にあります。例えば、年間増収率が4%で、利益率の改善により更に1%増益し、またフリー・キャッシュフロー利回りが約5%の企業であれば、最終利益は複利のように増幅され、長期的な増益率は10%に近づくでしょう。こうした企業は優れた絶対リターンを実現し、投資資金は7年間で倍になります。一方で、クオリティの低い企業は、厳しい環境下で悪材料を抱えるものです。ウサギがコンパウンダーであるカメに匹敵するリターンを達成する可能性は低いでしょう。市場でも、長期的には、緩やかながら安定した成長を実現する銘柄が勝利します。問題は、コンパウンダー銘柄は非常にまれであり、カメを見つけるよりも困難である点です。以下でどのようにコンパウンダーを発掘するのかを説明します。

 
 
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市場でも、長期的には緩やかながら安定した成長を実現する銘柄が勝利
 

コンパウンダーの本質は何か

コンパウンダーの核心は、強力で複製困難な無形資産にあります。ブランドやネットワークが例として挙げられ、コンパウンダーはこれらの無形資産を背景に価格決定力を有することができます。コンパウンダーの売上の多くを継続的な売上が占めているため、売上が予想可能で、かなりの利益成長が期待できます。経営陣が株主を重視していることも極めて重要です。資本を慎重に管理し、フランチャイズを永続的に維持するためにイノベーションと広告に十分な投資を行っていることが、優れた経営陣の試金石となります。

コンパウンダーの発掘方法

コンパウンダーがどのセクターで見つけられないかを説明するほうが簡単と言えるでしょう。銀行、公益、通信(コミュニケーションサービスというセクター名称に変更されたとしても)、鉱業およびエネルギーの企業の利益率は低く、景気循環の影響を受け易く、プライス・テイカー(価格決定力が無い者)であるため、複利のように利益を増幅させることはできません。コンパウンダーが最も多く見受けられるのは、生活必需品セクターと情報技術セクターのサブセクターであるソフトウェアおよびITサービスであり、実質的に「消費者から選ばれるブランド、企業に必要とされるソフトウェアおよびサービス、消費者から信頼されているネットワーク」が該当します。2017年5月のレポート「情報技術における勝者と敗者」および6月のレポート「アマゾンの覇権は間近か」で、これら両セクターに対して我々が何を求めているのか論じています

 
 
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コンパウンダーが最も多く見受けられるのは、“生活必需品”セクターと、“ソフトウェアおよびITサービス”サブセクター
 

コンパウンダーの財務状況

コンパウンダーは強力な無形資産を有しており、投下資本利益率を高めることができます。また、価格決定力と売上の多くを占める継続的な売上によって、高い粗利益率を維持でき、売上が安定しているため、厳しい環境下でも健全かつ着実に利益を成長させることができます。また、投下資本利益率が高い(=設備投資が少ない)ため、利益の多くが現金として残り、フリー・キャッシュフローを増加させることができます。最後に我々は、フリー・キャッシュフローが価値の低い買収に使われるのでは無く、株主に還元される事を評価します。貸借対照表に関しては、短期的に「効率的」である事よりも、長期的に頑強である事を評価します。

コンパウンダーであるかどうかを判断する際の主な課題

現在企業が利益を上げているかどうか、過去に利益が複利のように増幅したのかどうか見極めるのは容易です。しかし、これが続くのかどうか、または高水準の利益率と利益成長を維持できなくなるのか見極めるのは困難です。高水準の利益率を実現している理由(主な無形資産は何かなど)を探ることが最初の作業となります。続いて、これらの資産に対する無数の脅威(流行、技術、環境・社会面の問題)を分析することが次の重要な作業となります。高水準の利益率を持続できる、またはさらに改善できる可能性が高く、利益の安定成長が見込まれるという結論に達したとしても、ガバナンス面での確認も必要となります。なぜならば、短期的な利益を求めて過小投資に陥る、または資本配分が適切でないため、経営陣が複利のように利益を増幅できなくなる可能性があるからです。経営陣との面談および報酬制度を理解することでクオリティの低い経営のリスクを軽減することができますが、こうした作業は型通りのものではなく運用チームの知見に左右されます。

たばこ会社は今後も複利のように利益を増幅できるのか

たばこ業界は価格決定力を有しており、これが重要な資産となっています。たばこは常習性のある製品であり、数社が業界を独占しています。また、継続的な増税分が購入価格の大部分を占めており、これらを背景に毎年5%程度値上げしてきました。そのため、過去50年以上にわたり、規制強化のマイナス影響が値上げにより埋め合わされてきました。最近の米国における可燃性たばこのニコチン包有量削減およびメンソール禁止に関する規制動向は、現在のところ少なくとも、長期的な傾向に変化をもたらすものではなく、実施されるにしてもまだ先になると考えています。

 
 
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現在の景気循環後期の環境は、特にコンパウンダーにとって有利
 

業界に変化をもたらしたのは、加熱式たばこ・電子たばこといった“次世代たばこ”の、新たな技術の導入です。この変化を背景に、代替ニコチン製品の供給の可能性を踏まえて、規制当局は従来の可燃性たばこに対する規制を強化しており、その主な影響は競争環境に及んでいます。従来、たばこの市場シェアは安定していましたが、新製品の影響を受けています。日本ではフィリップ・モリス・インターナショナルの加熱式たばこIQOS(アイコス)が市場の16%を占め、米国では電子たばこのJUULが既存製品を脅かしています。これらの次世代製品を擁するたばこ会社がシェアを伸ばし、複利のように利益を増幅できる一方で、他社が同じように利益を増幅することは不可能であると我々は考えています。そのため、たばこ業界で投資可能なユニバースは狭まっており、当運用戦略に占める比率はピークの約25%から10%未満に低下しています。

今がコンパウンダーに投資する好機か

市場は短期的かつ相対的な見方をする傾向にあるため、コンパウンダーが割安になることがたびたび見受けられます。中長期的な視点に立てば、いつでも、コンパウンダーに投資する好機です。とは言え、コンパウンダーは景気悪化局面においても利益を維持できるため、現在が景気循環の後期である事を勘案すると、特に貴重な投資対象と言えるでしょう。

 

 


 本書は、インターナショナル・エクイティ運用チームが作成したレポートを、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント株式会社が翻訳したものです。本書と原文(英語版)の内容に相違がある場合には、原文が優先します。

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費用について
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25億円までの部分に対して          0.864%(税抜 0.800%)
25億円超50億円までの部分に対して             0.810%(税抜 0.750%)
50億円超100億円までの部分に対して           0.756%(税抜 0.700%)
100億円を超える部分に対して     0.702%(税抜 0.650%)
※ 表記の料率は年率表示です
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※ 税込料率は法律に定められる税率が適用されます
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効率的な運用を実現するという観点から、個別口座の最低受託金額を50億円と設定しております。
《ご注意》
上記に記載している費用項目につきましては、一般的な投資一任契約を想定しております。受託資産の運用に係るリスクや費用については、投資一任契約を締結する際に、事前に契約締結前書面をご覧ください。

投資一任契約に基づいて投資信託に投資する場合の費用
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投資信託にかかる費用
信託報酬                        年率0.054%(税抜 年率0.05%)
内、委託者報酬(運用報酬) ありません
信託財産留保(相当)額    基準価額に0.20%を乗じた額(解約時)

•   販売手数料はございません
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- 組入有価証券を売買する際に生じる取引費用
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- 信託事務の処理に要する諸費用
- 受託会社の立替えた立替金の利息
- 投資信託財産に関する租税
- 投資信託財産に係る監査報酬
- 法律顧問に対する報酬
- 投資信託約款および受益者に対する報告書の作成、印刷および交付に係る費用
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- 投資信託振替制度に係る手数料および費用等
(上記その他の費用については、当該投資信託の運用状況等により変動するため、事前に料率やその上限額等を表示することができません)

上記投資顧問報酬(0.75%)と上記投資信託の信託報酬(0.05%)の合計は、0.80%(年率、税抜)となります。