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2023年インベストメント・アウトルック
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2022年12月30日

グローバル株式:クオリティの高いコンパウンダー企業は継続的な売上と価格決定力を有する

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2023年インベストメント・アウトルック

グローバル株式:クオリティの高いコンパウンダー企業は継続的な売上と価格決定力を有する

グローバル株式:クオリティの高いコンパウンダー企業は継続的な売上と価格決定力を有する

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2022年12月30日

 
要旨
1

価格決定力と継続的な売上を備えた企業は、どのような経済サイクルにあっても実質ベースの利益を着実に拡大させることが可能であり、利益成長が株式市場全体を上回る可能性が高いと考えています。

2

高成長株のバリュエーションが急激に低下しているため、ポートフォリオに新規銘柄を組み入れる機会が幾つかありました。

3

継続的な売上と価格決定力の両方を兼ね備えたクオリティの高いコンパウンダー企業は、景気後退局面においても売上と利益率を確保できると考えています。

 
 

市場の状況

  • MSCIワールド・インデックスの予想PERは、2003年から2019年(コロナ禍前)までの平均値に近づいており、私たちの関心は、より広範な市場全体における利益の脆弱性に移っています。
  • 最近の顧客ミーティングの中で聞いた話を勘案すると、多くのアセットオーナーは高成長株のエクスポージャーを減らし、よりディフェンシブな特性を持つ高クオリティ株を選好するようになっているようです。
  • 価格決定力(消費者にコストを転嫁できる力)と継続的な売上(繰り返し購入される傾向)の両方を兼ね備え、厳しい状況下でも利益を確保できるコンパウンダー企業を、特に今こそ、保有すべきであると考えています。
  • 過去数十年間でも見られたように、クオリティの高いコンパウンダー企業は、どのような景気サイクルにおいても実質ベースでの利益を着実に積み上げていき、市場を凌駕できる可能性が高いと考えています。供給問題が正常化したときには(または供給バランスが崩れて供給過剰に陥いる可能性もあり、いずれにしても)、真の価格決定力が発揮されることになるでしょう。
  • 市場全体の収益性が低下した場合でも利益が比較的安定している、真の価格決定力を持った企業に投資することが極めて重要です。
     

投資行動・今後の方針

  • どのような市場環境にあっても、私たちは引き続きクオリティの高いコンパウンダー企業に注目しています。
  • 具体的な企業例としては、消費関連で人気の高いブランドを有する企業や業務遂行に必要不可欠なソフトウェアサービスを有する企業、確かな品質を誇るヘルスケア企業などで、こうした企業は一般的に競合他社が再現・複製することが困難な、強力な無形資産を有しています。
  • 高成長株のバリュエーションが急激に低下し、ポートフォリオに新規銘柄を組み入れる機会を提供しました。また今年に入ってからのグローバル株式ポートフォリオの銘柄の買い増し・一部売りにも影響を与えました。
     

今後の注目点

  • 株式投資で損失を出す(つまり株価が低下する)原因は2つあります。それは、企業の利益(より厳密には一株当たり利益、EPS)が減少するか、株価収益率(PER)が下がるかです。私たちは、今後の主なリスクは利益にあると見ています。ただし、市場参加者の予想では、株式市場全体としては今後1年では予想利益の上昇が見込まれ、利益率も過去最高水準に近いところにあるため、市場参加者の予想利益の観点からは、深刻な景気後退どころか、大幅な景気減速も示唆されていません。一方でPERに関しては、最近の低下で、今後のPER低下リスクは減少したものの、リスクは完全に排除されたわけではありません。
  • 短期的には、中央銀行が利上げを通じてインフレに対抗する試みを続けるなか、景気減速見込が利益にとって大きな脅威となると考えています。景気減速のペースは地域によって異なる可能性があります。長期的には、より強靭なサプライチェーンを構築する必要性や、各国政府が財政の立て直しを目指すなかで法人税率を引き上げる可能性があるなど、利益に対して更なる低下圧力がかかる可能性があります。
  • マクロ経済の見通しは不透明で、政策を誤る余地がある中、私たちは引き続き、クオリティの高いコンパウンダー企業のポートフォリオを推奨しています。こうした企業は継続的な売上と価格決定力を併せ持つことで、景気後退期においても売上と利益率を確保し、より厳しく、変動が大きい時期にも、利益の回復力と、利益の相対的な予測可能性を投資家にもたらすことができると考えています。
 
 
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市場全体の収益性が低下した場合でも利益が比較的安定している、真の価格決定力を持った企業に投資することが極めて重要です。
 
 
william.lock
インターナショナル・エクイティ運用チーム責任者
 
bruno.paulson
マネージング・ディレクター
インターナショナル・エクイティ運用チーム
 
 

重要事項

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