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2020年3月30日

金融傾向の変化

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金融傾向の変化


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金融傾向の変化

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2020年3月30日

 
 

銀行に対する規制は、経済活動全般における二酸化炭素排出削減を、予想より早く進めるかもしれません。今後、これら規制による変化に適応できる企業は繁栄し、それ以外は衰退するでしょう。現在、マーケットは環境、社会、ガバナンス(ESG)アプローチを十分に株価に反映させてはいませんが、我々は投資プロセスにしっかりと組み込んでおり、今後、益々これらの要素が長期のパフォーマンスを達成していく上では重要な要素になってくると信じています。

 
 

世界中の検索トレンドがチェックできるGoogleトレンドによると、2017年以降、ESG投資に対する検索数は10倍以上となっており、その関心の高まりが伺えます。また、欧州ではESG投資が占める割合は従来の2倍、約7%に達しました1。このように、急速なESGへの関心の高まりは金融市場のみならず、企業のESGに対する振る舞いや、その株価に明確な影を落としています。

欧州委員会は2019年12月に「欧州グリーンディール」を発表しました。委員会は、「民間セクターの資金調達こそがグリーントランジション(発行体が自社のビジネスをよりクリーンな方向、特に環境にやさしい方向に転換するために使われる資金の調達)の要であり、座礁資産(市場環境や社会環境が激変することにより、価値が大きく毀損する資産:化石燃料資産など)ではなくグリーン投資への資金流入を、長期にわたって導く事が求められる」と述べています2

 
 
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銀行は全般的なESGリスクおよび気候変動リスクをリスク管理プロセスに統合すべきである。"
 
 
 

また、「気候および環境リスクは金融システムにおいて適切に管理・統合されるべき」とも述べています。これが意味するのは、欧州連合(EU)の財務健全性監督の枠組みにこのようなリスクが適切に統合されるべきであり、グリーン資産に対する既存の資本要請の是非を見直すべきである、という事です。

ここまでの話をシンプルにまとめると、「銀行は全般的なESGリスク、特におよび気候変動リスクを、リスク管理プロセスに統合すべきである」という意味です。一例として、銀行は住宅ローン貸付を行う際の担保評価において、世界的な温暖化に伴う気温上昇(2、3もしくは4度上昇時のシナリオ)を仮定した際の洪水発生リスクを考慮する必要があります。このような物理的リスク以上に評価することが難しいのは、低炭素経済社会への移行に伴うリスク、すなわち、石炭火力発電所やセメントプラント、ガスパイプライン等に対する規制強化(もしくは政策変更)に伴うリスク評価です。欧州委員会が2050年までに二酸化炭素排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルを目指すために多大な投資が必要となり、その多くは都市ビルからの二酸化炭素排出量を削減する為の投資(断熱材を使った冷暖房の効率化や建築資材の工夫など)3です。EUタクソノミー(気候に中立的な経済の実現につながる経済活動をいかに支援し投資を行うかに関するガイダンスを政府、産業界、投資家に提供することを目的とした、サステナブル活動の分類等のシステム)の直近の試算によると、EUのGDP15%に相当する、年間約2,700億ユーロもしくは今後10年で約2.7兆ユーロのさらなる投資が必要とされています。

 
 
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欧州銀行監督局(EBA)は、気候変動リスクへの脆弱性を測るため、銀行セクターのストレステストに気候変動のリスクを含めることを検討中。"
 
 
 

ヨーロッパの銀行に対しストレステスト等を行う欧州銀行監督局(EBA)は、2020年の後半に、何行かの銀行と共に気候変動に関する分析を始める予定です。いつかは決まって無いものの欧州銀行監督局(EBA)は、銀行セクターのストレステストに気候変動のリスクを含めて気候変動リスク4への脆弱性を測ることを検討しており、欧州中央銀行総裁のクリスティーヌ・ラガルドは、早くとも2021年に導入したいと話しています。このストレステストは各銀行の資本要請の評価を欧州中央銀行が行うのと同様に導入される可能性が高いです。

気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS)は2018年5月に設立され、欧州に加え、中国人民銀行、日本銀行、イングランド銀行などが参加したことにより、グローバルなネットワークが構築されました。NGFSはその名の通り、気候変動や環境リスクに対する金融監督上の対応を検討し、持続可能な社会の実現を達成する為のグリーンファイナンスを推進するために設立されました。2019年4月に発行された最初の包括的報告書には、気候変動を金融リスクの要因として捉え、共に働きかける必要があることを呼び掛けています。

銀行は貸出先のデフォルトリスクや担保価値、資本比率を算定するにあたって、現実のリスクおよびグリーンローンへの移行リスクを認識するに連れて、ブラウンローン(すなわち、グリーンローン以外)に多額の引当金を割り振らなくてはならないでしょう。少なくともこれら与信に対してはコストを加算する必要がありますし、その与信のリスク限界や全体の資本比率に与える影響を考えれば、貸付先にそもそも与信枠を全く与えないという選択肢もあり得ます。既にいくつかの銀行は石炭鉱業や石炭火力発電に対する融資を全面禁止している例もあります。

欧州委員会は二酸化炭素排出量削減につながる経済活動に関するタクソノミー(分類)の草案を発行しました。いずれは、二酸化炭素排出削減に貢献する企業に対して資本規制を緩める一方、有害な行為には資本規制を強める方針が示されています。その際に銀行は、石炭鉱業などのブラウン経済活動に融資する際には高リスク資産と高い資本規制という二重苦に直面することでしょう。資本移動への直接的介入は1970年代のディリジスム(国家が資本主義市場経済に対して単なる規制的または非介入主義的役割とは対照的に、強い指示的役割を果たしている経済学説)以上のものを彷彿とさせます。

 
 
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企業にとって株式発行による資金調達以上に与信による資金調達は重要である。与信による資金調達が難しい企業は今すぐ経営方針を変更するべき。"
 
 
 

では、なぜ銀行セクターを未保有または通常著しくアンダーウェイトにしている我々のポートフォリオに関係してくるのでしょうか?ポイントとしては株式発行による資金調達よりも融資による資金調達の方が企業に与える影響が大きいからです。企業は株式発行による資金調達は戦略上の優先順位上位にあることは珍しく、また、企業のCEOは、株主の多くがパッシブ運用保有のものであったならば、ESGに注目している株主を無視することさえできます。一方で、与信や債券発行による資金調達になると事情は一変し、これらESG要素を考慮しないことにより、有利な利率で資金調達ができない場合や、はたまた与信を与えられないなどということがある場合は、その経営方針を直ちに見直す必要があります。

このように二酸化炭素排出量の多い業界から引き揚げられた資金は二酸化炭素排出の観点においてポジティブないしはニュートラルな業界に振り分けられ、利益と資本リターンが移り、結果として経済と株価指数に占める割合が変わるでしょう。このような変化に付いていくには、我々のような、アクティブでESG焦点をあてたアプローチが有効です。

 
 

1出所:バンク・オブ・アメリカ

2出所:欧州委員会(EC)「The European Green Deal(2019年11月12日)」、 https://ec.europa.eu/info/sites/info/files/european-green-deal-communication_en.pdf

3出所:欧州連合(EU)サステナブル・ファイナンスに関するテクニカル専門家グループ「Taxonomy Technical Report(2019年6月)、 https://ec.europa.eu/info/sites/info/files/business_economy_euro/banking_and_finance/documents/190618-sustainable-finance-teg-report-taxonomy_en.pdf

4出所:欧州銀行監督局(EBA)サステナブル・ファイナンスに関するアクションプラン(2019年12月6日)

 

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