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グローバル・エクイティ・オブザーバー
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2023年7月24日

今後の企業業績の悪化を警戒

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2023年7月24日

今後の企業業績の悪化を警戒


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今後の企業業績の悪化を警戒

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2023年7月24日

 
 

1-3月期は堅調な相場展開となり、MSCIワールド・ インデックスは当四半期全体を通してプラス圏で推移し、8%上昇しました(米ドルベース、2022年第4四半期は10%上昇)。情報技術、一般消費財・ サービス、およびコミュニケーション・サービスなどのグロース・セクターは昨年に軟調な値動きとなりましたが、1-3月期にはこれらのセクターが市場を牽引しました。

 
 

1-3月期には銀行破綻が相次いだにもかかわらず、銀行セクターも比較的底堅く推移し、4%の下落にとどまりました。企業の予想利益の伸びは横ばいでしたが、予想株価収益率(PER)が1ポイント以上上昇したため、1-3月期の株式市場は堅調なパフォーマンスとなりました。

今後の見通しはどうでしょうか?現在の市場のバリュエーションは割安とは程遠い水準にあり、予想PERは16.2倍であり、これは2003~2019年の平均PERを14%上回る水準です。ただし、2020~2021年の平均PERは20倍近くであり、バリュエーションに過熱感が見られたため、これと比べるとやや割安と言えるかもしれません。さらに、株価収益率の計算に使われる利益(1株当たり利益)、そして特に利益率は高水準で推移しています。セルサイドの予想によると、2023年の企業収益は2%の小幅な伸びにとどまる可能性がありますが、2024年には10%の伸びに戻ると見込まれています。また、予想利益率は16.1%であり、これは過去最高値から50ベーシス・ポイント(bps)の範囲内にあり、コロナ禍前におけるピークを80bps上回っています。このように、企業収益予想は堅調であり、それに基づくPERも比較的高い水準にあるため、株式市場が大幅な景気減速を織り込んでいると判断するのは非常に難しいと言えます。現在の力強い経済状況は一時的なものであり、景気後退が回避されたわけではなく、単に時期が後ずれしたに過ぎないならば、株式市場はまったく異なる状況になります。

1-3月期には、少なくとも銀行セクター以外では好材料がありました。中国では2022年10-12月期に新型コロナウイルスの感染が急拡大しましたが、1-3月期にはこれが収束し、景気が回復しました。また暖冬の影響により、欧州では天然ガス価格が下落し、米国では経済活動を下支えしました。2023年の国内総生産(GDP)成長率の予想は、米国で0.3%増から1%増、ドイツで0.6%減から0%にそれぞれ上方修正されました。銀行セクターについては、AT1債市場や、米国の地方銀行の融資活動が悪化したものの、3月の混乱は収束したようです。今回の銀行セクターの混乱は、2008年の金融危機とは性格がまったく異なるものと言えます。当時と比べて銀行は十分な資本と流動性を有しており、米国では総資産が2,500億ドル未満の銀行を除いて、2008年よりも規制・監督が強化されています。

その一方で、インフレの高止まりが長期化しています。賃金(少なくとも名目賃金)の上昇が続いており、企業は値上げを実施し、利ざやを確保しています。ただし、コロナ禍に端を発したサプライチェーンの混乱が解消に向かって実際の経済が回復している中で、物価上昇圧力は緩和しつつあり、米国では財のインフレ率が2月に0%の伸びとなりました。その一方で、賃金の影響を受けやすいサービス・セクターのインフレ率は7%の上昇となりました。

インフレ圧力が続いているものの、市場が織り込む米国の予想金利は大幅に低下しており、シリコンバレー銀行の破綻を受け、2023年12月時点における米国の政策金利の予想水準は数日間で150bps低下しました。債券価格は不安定に推移しているものの、米国の金利が今年後半に低下し始めることを示唆しています。景気減速を伴わずにインフレが後退すれば、それは「完全なディスインフレ」の実現です。しかし、債券市場は急激な景気減速を織り込んでいるように思われ、それを受けて米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに踏み切ると考えられます。それにもかかわらず、利下げ観測に対して株式市場はポジティブに反応しました。

米国経済は今年後半に減速する可能性があり、その理由は確かにあり、先行指数が警戒を促しています。例えば、銀行の融資基準は、地方銀行の問題が起こる前から厳格化されています。また、中小企業の景況感は低く、消費者信頼感の見通しは悪化しています。今回の利上げサイクルにおいて米国の政策金利は500bps近く上昇していますが、利上げの影響が経済に完全に浸透するまでには時間がかかります。例えば、住宅ローンの組成件数は急減していますが、住宅着工件数は比較的底堅く推移しており、建設業界の雇用状況もまだ悪化していません。ブルームバーグの調査によると、米国の景気後退を予想するエコノミストは全体の65%に上っています(ただし、緩やかな景気後退にとどまるとの見方が主流となっています)。また、2023年のGDP成長率予想が上方修正されている一方で、2024年のGDP成長率予想は下方修正されています。企業業績については、今のところ好業績を維持していますが、悪化は避けられないと見込まれます。

FRBが過度な利上げを行ったのか、十分な利上げを行っていないのかと、高名なエコノミスト達が言い争うような、予想困難な今年において、これから何が起きるかという見通しを私たちは持ち得ません。ただし私たちが多少の自信を持って言えるのは、様々な結果が想定される中で、株式市場は最善の結果のシナリオだけを織り込んでいて、楽観的と考えられます。米国が景気後退入りする可能性が非常に高い、または殆ど確実であるにもかかわらず、予想利益率は過去最高に近い水準にあり、株価収益率も高水準で推移しているのです。また、債券市場のボラティリティが大幅に高まっているにも拘らず、株式市場のボラティリティは通常の水準で推移しています。

景気減速によって企業業績が悪化する恐れがあるため、優良企業に資金を逃避させることが望ましいと考えられます。長期にわたり価格決定力を維持し、売上が安定している企業は、株式市場全体に比べて、景気減速局面でも底堅い利益を確保できる可能性が高いと考えます。このような企業は市場平均をアウトパフォームする可能性が高く、それは歴史が証明しています。

企業業績がほぼ横ばいで推移していることを踏まえると、2022年の市場の下落と2023年の回復は企業業績に基づくものではなく、単に株価収益率(つまり投資家の相場見通し)が変化したことによるものと考えられます。このような環境では高クオリティ企業の特性は発揮出来ませんでした。本当の試練が始まるのは恐らく今年後半であり、企業業績の明暗が分かれ始めれば、高クオリティ企業がアウトパフォームする可能性があると考えられます。

 
bruno.paulson
マネージング・ディレクター
インターナショナル・エクイティ運用チーム
 
 
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