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グローバル・エクイティ・オブザーバー
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2023年9月20日

適切な資本配分により、耐久性を構築する

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2023年9月20日

適切な資本配分により、耐久性を構築する


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適切な資本配分により、耐久性を構築する

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2023年9月20日

 
 

ウィリアム・シェイクスピアは、歴史劇『リチャード二世』の中で「モート(堀)」の強さに言及しています:「銀色の海に浮かぶ宝石がこの島を守り、堀となってくれる…」。また、著名投資家のウォーレン・バフェット氏は、モート(堀)の例えをよく使います:「投資先を選別する際に、私は強力なモート(堀)に守られた経済的な城を探します。」

 
 

私たちのチームは、強力なエコノミック・モート(経済的な堀)を持つ優良企業を発掘することに努めています。こうしたモート(堀)を持つ企業は、長期的に耐久力のある競争優位性を有しているため、市場シェアを確保・拡大し、利益率を維持・改善し、魅力的な長期リターンを生み出す可能性があります。

しかし、こうしたモート(堀)を維持するためには、企業の経営陣は自社の製品やサービスの特異な属性(ブランド認知度、価格決定力、特許技術、高いスイッチングコスト、ネットワーク効果、規模・到達度合)に効果的かつ継続的に投資する必要があります。企業が広告・宣伝、研究開発(R&D)、またはその他の分野に投資する場合、買収を通じて行うのではなく、自社の勘定で行うことが望ましいと私たちは考えています(ただし、一部の例外を除く)。

 
 
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ここ数年間にわたり、すべての企業にとって非常に厳しい時期が続きました…しかし、そうした状況の中でも、私たちが保有する企業は底堅い業績を維持しました
 
 
 

※本書は情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の売買を推奨するものではありません。本書内で言及されている全ての銘柄について、今後ポートフォリオで保有することを保証するものではありません。

 
 

ここ数年間は、優良企業であろうとなかろうと、すべての企業にとって非常に厳しい時期が続きました。その背景には、新型コロナウイルスの感染拡大、ロシアによるウクライナ侵攻、サプライチェーンの混乱、インフレ率の高騰、各国中央銀行の金融引き締めなどの影響がありました。しかし、そうした状況の中でも、私たちが保有する企業は底堅い業績を維持し、継続的な投資によって成長力を高めてきました。実際に、各企業が底堅い業績を維持できているのは、経営陣が効果的な投資を行っているからこそであると考えられます。これにより、企業はさまざまな景気サイクルと市場のイベントを上手く乗り切ることができたと言えます。

投資を通じてモート(堀)を強化する

ここで、私たちが保有する生活必需品企業を例に挙げて考察します。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、生活必需品企業を取り巻く事業環境は大きく悪化しました。ロックダウン(都市封鎖)の実施により、バー、ホテル、レストランなどが営業停止に追い込まれたため、飲料会社は販売チャンネルの半分を失いました。また、美容会社が商品を販売する伝統的な小売店や免税店なども閉鎖されました。外出制限の影響で客足が遠のき、店頭に並ぶ家庭用品や日用品の売れ行きが減少しました。しかし、私たちが保有する生活必需品企業は事前にデジタル事業への投資をしていたことから、ブランド認知度を維持し、世界中の顧客との直接的なつながりを維持することができました。

例えば、私たちが保有するフランスの世界的な化粧品会社は、デジタル・Eコマース事業に注力していたことから、2020年のコロナ禍においても消費者と良好な関係を維持し、これらの事業で売上を伸ばしました。その結果、実店舗の閉鎖によって失われた売上の大部分を補うことができました。同社のEコマース事業の売上は、2020年に60%増加し、現在はグループ全体の売上の28%を占めています。広告・宣伝費は、2020年の87億ユーロから、2022年には120億ユーロに増加しました。これにより、同社は市場成長率の2倍のペースで売上を伸ばすことができました。一方、販売費および一般管理費は2019年に売上の20.3%を占めていましたが、2022年にはこの割合が18.3%に低下したため、営業利益率が改善しました1

私たちが保有するオランダの世界的ビール会社は、大規模な設備投資を行い、ベトナム、ブラジル、およびメキシコで生産能力を増強するとともに、グローバルな企業間(B2B)取引や、コネクテッド・ブルワリー・プログラムを通じて効率化への投資を進めています(過去5年間に行った設備投資と同額を今後3年間で費やす予定)。さらに、太陽光発電やバイオガス発電など、持続可能性への投資を増やし、排水処理施設への投資も行っています。同社は2020年以前からデジタル事業への投資を行っていたため、コロナ禍においてEコマース・プラットフォームが大きく成長し、業績に貢献しました。一方、企業・消費者間(B2C)プラットフォームであるBeerwulfは、2020年に3百万人以上の顧客にサービスを提供し、その半分は新規顧客でした。現在では伝統的な小売チャンネルが再開されて
いますが、デジタル事業のアクティブ顧客数はコロナ禍前の水準から40%増えています。B2Bのデジタル・プラットフォームは当時、24ヵ国で利用可能であり、60,000社の法人顧客に接続されていました。現在、このプラットフォームでは430,000以上の顧客を抱えており、商品の販売額は2020年の15億ユーロから2022年には60億ユーロに増加しました。また、2025年に150億ユーロを達成することを目標としています2

私たちはヘルスケア・セクターにも注目しており、特にライフサイエンスと医療技術の分野には、優良企業が多く存在していると考えています。ヘルスケア企業がモート(堀)を築くということは、イノベーション(研究開発)に資金を投じ、生産設備への投資によって規模を拡大することを意味します。私たちが保有する米国の多角化企業は昨年、毒物学と代謝学の分野で高分解能(ハイ・レゾリューション)分析(細胞や組織、生物内の微小物質に関する大規模な研究)を行うため、質量分析プラットフォームの構築に投資しました。同社は、小型化・複雑化が進む半導体の開発を支援するために、最新式の走査型電子顕微鏡DualBeamを開発しました。また、同社は遺伝子科学の分野で、高度な分子診断を行う研究所を支援するために新たなシステムを開発しました。同社は規模の拡大に向けて、中国とシンガポールで生産能力を増強し、韓国では半導体産業やバイオテクノロジー産業を支援するためにイノベーション・センターを開設しました。同社は事業全体で25億ドルもの設備投資を行い、パートナーシップの強化と成長加速に取り組んでいます3

情報技術セクターでは非常に大規模な投資が行われており、今後も続きます。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、テクノロジーの必要性が高まる中で、企業はデジタル化を加速させました。こうした中で、私たちは世界トップ・クラスのテクノロジー・コンサルティング会社の銘柄を保有しており、同社は9,000社の顧客を擁し、フォーチュン・グローバル500社のうちの75%以上が同社の顧客となっています。同社は昨年、研究開発と研修に22億ドル(売上高の4%近く)を投じました。同社は2020年以降、需要の拡大に対応するために人材投資を行い、社員を40%増やしました。2020年に事業環境が厳しくなったものの、同社の投下資本利益率はほとんど低下せず、2019年以降は安定して上昇しており、ビジネスの回復力(resilience)が明示されました4

私たちはまた、グローバル・ポートフォリオおよびアメリカ・ポートフォリオにおいて、世界最大のソフトウェア会社の銘柄を
保有しています。同社は、多くの人が職場で利用するソフトウェア・プラットフォーム(ネットワーク)を運営しており、ビジネスパートナーや顧客とのエコシステムにおいて不可欠な体験やソリューションを提供しています。これは大規模な投資を必要とするサービスであり、これに代わるサービスを競合他社が提供することは極めて困難であると言えます。同社の2022年の設備投資額は240億ドルに上り、これはMSCIワールド・インデックスのソフトウェア産業全体の設備投資額の70%近くに相当します5。同社は、インテリジェント・クラウドとインテリジェント・エッジ・プラットフォームを構築する戦略を進めており、サービスのクオリティを維持するために、データ・センターや技術インフラに継続的に投資しています。これにより、モート(堀)を更に深く、広くしています。同社は大規模なシステムを運用しているため、高い効率性を実現しています。例えば、同社の巨大なデータ・センターは、他社におけるより規模の小さいデータ・センターと比べて、コンピューター・リソースのユニット当たりのコストを低く抑えることができます。同社の大規模なクラウド・サービスでは、多様な顧客、地域、およびアプリケーションの需要を調整・集約できるため、コンピューター、ストレージおよびネットワークなどのリソースを効率的に運用することが可能です。また、環境面でもメリットがあります。同社のクラウド・サービスと人工知能(AI)サービスおよびデータ・センターを活用することにより、企業はエネルギー消費量を削減し、物理的な資産を減らす一方で、持続可能な製品を設計することが可能となります。

このように、私たちが保有する企業は、継続的な投資によって競争優位性を構築・維持し、顧客との関係を強化することに努めています。私たちが企業訪問を行い、経営陣と面談する際には、競争優位性の向上につながるような資本配分が行われているかどうかを重視しています。適切な資本配分により、翌四半期、または翌年の業績がすぐに変化するわけではありませんが、長期的な優位性の見通しは確実に改善します。適切な資本配分によって強力なモート(堀)を築き、それを維持できれば、長期にわたり収益とキャッシュフローを着実に増やすことが可能です。私たちはこうした企業に投資したいと考えています。

 
 

1 LʼOréalの報告書からデータを取得しています。

2 アルコール銘柄を除外しているポートフォリオでは、同社をポートフォリオに組み入れていません。出所:Heinekenの報告書からデータを取得しています。

3 Thermo Fisherの報告書からデータを取得しています。

4 Accentureの報告書からデータを取得しています。

5 FactSet

 
alistair.corden.lloyd
エグゼクティブ・ディレクター
 
 
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本書は、インターナショナル・エクイティ運用チームが作成したレポートを、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント株式会社が翻訳したものです。本書と原文(英語版)の内容に相違がある場合には、原文が優先します。

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25億円超50億円までの部分に対して             0.810%(税抜 0.750%)
50億円超100億円までの部分に対して           0.756%(税抜 0.700%)
100億円を超える部分に対して     0.702%(税抜 0.650%)
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