フラッシュ・レポート
火の無いたばこに煙は立たぬ
 
 

フラッシュ・レポート

火の無いたばこに煙は立たぬ

 

米国規制当局による7月28日付の発表は、たばこ業界に驚きをもって受け止められました。その内容は、食品医薬品局(FDA)が従来の可燃性の紙巻たばこに含まれるニコチン含有量を依存症が起きない水準に引き下げようとしており、メンソールの役割にも疑問を呈しているというものでした。とはいえ、どんな対応が取られるにせよかなり先になる可能性が高く、次世代製品(電子たばこや加熱式たばこ)で現在市場で地位を確立している企業にとっては、事業機会を得ることによってバランスが保たれるであろうと我々は考えます。我々のポートフォリオは次世代製品、特に火の出ない加熱式たばこを擁する銘柄に集中しており、これらの銘柄は業界内で有利な地位が確保できるはずです。

 
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たばこ業界の複利のような利益の増幅は、規制圧力に直面する中で生まれた
 
 
 

たばこ業界は長年安定的に複利のように利益を増幅してきました。この業界は過去10年間、米ドル・ベースで年率7%の利益成長、そして4%前後の堅実な配当利回りを維持してきました。対照的に、MSCIワールド・インデックスの利益成長率はわずか0.5%で、利回りも低水準です1。7月末の事例で示されたように、たばこ業界の株価収益率(PER)は変動する可能性はありますが、長期的には複利のような利益の増幅が継続されており、それが株価の堅調なアウトパフォームを後押ししてきました。我々はこうした利益の増幅のカギとなっているのは価格決定力であると考えます。この業界では、寡占産業であることに加えて、ほとんどの市場で広告が制限されているため新規参入者が抑制されており、更に課税制度が値上げを容易にしているといった、安定的に値上げ(生産者価格で年率5%)するための完璧な環境が整えられています。重要なのは、たばこ業界の複利のような利益の増幅は、規制圧力に直面する中で生まれた点に留意することです。その規制は先進国市場におけるたばこの販売量を着実に減少させてきました。しかしながら、たばこ税の引き上げや広告の禁止といった、一部の規制変更が価格決定力の強化につながっていたのは事実です。7月28日の米国規制当局による発表は重要な内容でしたが、それがこれまで40年続いてきた規制モデルの転換につながるとは見ていません。

 
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生活必需品セクターの他業種と同様、銘柄選択がより重要になっている
 
 
 

今後、一部のたばこ企業は順調に複利のように利益を増幅し続けることが可能であると考えます。ただし、前回も触れましたが、生活必需品セクターの他業種と同様に、銘柄選択がより重要になっています。他の生活必需品銘柄にとって重要なポイントは、技術の変化とアマゾンの脅威です。たばこ業界において脅威(もしくはチャンス)となっているのは、「次世代の」あるいは「有害性が低い」製品です。これらの製品、すなわち加熱式たばこや電子たばこで実績を挙げている企業は、他の企業を踏み台にしてシェアを拡大し、それによってさらに利益を増幅し続ける可能性が高いと我々は考えます。少なくとも米国規制当局の動きは、このプロセスの一助になっているといえます。

7月28日に発表された米国の規制方針が市場を震撼させたことは容易に理解できます。FDAの新長官は、可燃性(旧来型)の紙巻たばこのニコチン含有量を依存症が起きない水準まで引き下げようとしているほか、若年者を喫煙に引き込むフレーバー(特にメンソール)の果たす役割について懸念を示しています。ただし留意する必要があるのは、この発表は実際の規制ではなくプレスリリースとして出されたものであり、現実的なプロセスには多くの年月がかかると考えられるうえ、結果的には最初の提案よりもかなり中身の薄いものになると予想されることです。たばこ規制法の下では、FDAの決定は科学的な根拠に基づいたものであることが求められますが、その多くはまだ実証されておらず、さらなる調査が必要となるであろうことを意味しています。たばこ業界は強力な法的異議申し立てを行う用意があり、これは規制改革の遅延または阻止につながる可能性があります。さらには、共和党が支配する議会とトランプ大統領陣営は、当該ニコチン規制を歓迎しない可能性もあります。

前向きに捉えられるのは、FDAによるプレスリリースの中で、ニコチン摂取に際し有害性が低いその他の手段、すなわちよりリスクの低い次世代製品が、そのニコチン含有量が低いとは限らないにも関わらず、明示的に推奨されている点です。「大手たばこ企業」が電子たばこの市場を支配しているほか、加熱式たばこの分野はフィリップ・モリス・インターナショナルの「IQOS(アイコス)」が日本市場ですでに12%のシェアを確保して首位に立っており(米国ではアルトリアにライセンスを許諾する予定)、英ブリティッシュ・アメリカン・タバコの「glo(グロー)」が続いています。規制当局の姿勢から、米国において加熱式たばこの承認が促進され、そして更に、他の市場と同様に、可燃性の紙巻たばこと比較した際の税制上の優遇が強化される可能性があります。このことから、次世代製品がある程度の規模に達すれば、その経済的価値は従来の紙巻たばこと同等か、あるいは更に高くなります。

 
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我々はクオリティが高く複利のように利益を増幅することのできる銘柄、すなわち高い投下資本利益率の下、安定的に利益を伸ばし続けることのできる銘柄を選好
 
 
 

我々の見方では、現時点で世界の先行きを深く見通すことは難しく、この見通しの悪さは、MSCIワールド・インデックスの12カ月予想PERが約17倍1に達する株式市場には反映されていません。さらに、この約17倍という数値は二桁の利益成長を前提としています。以上から、我々はクオリティが高く複利のように利益を増幅することのできる銘柄、すなわち高い投下資本利益率の下、安定的に利益を伸ばし続けることのできる銘柄を選好します。我々は、規制面では雑音があるものの、次世代製品で有利な位置につけるであろうことを見越して、たばこ業界の銘柄を組み入れています。数十年にわたって複利のように利益を増幅することが可能であったたばこ業界の能力は、FDAによる発表後のバリュエーションには反映されず、MSCIワールド・インデックスに対するプレミアムも実質的に消滅しています。

 
マネージング・ディレクター
 
 
インターナショナル・エクイティ運用チーム責任者
 
 

出所:ファクトセット 2017年7月31日現在

本書は、インターナショナル・エクイティ運用チームが作成したレポートを、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント株式会社が翻訳したものです。本書と原文(英語版)の内容に相違がある場合には、原文が優先します。本書はグローバル・フランチャイズ運用戦略に関する情報提供を目的として作成したものであり、法令に基づく開示書類ではありません。本書は信頼できると判断した情報を元に、十分な注意を払い作成しておりますが、その正確性や完全性をお約束するものではありません。本書の内容は作成時点のものであり、将来予告なく変更されることもあります。本書中のグラフ、数値等は過去のものであり、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。また、特定の銘柄及び市場等全般の推奨や価格の上昇又は下落を示唆するものではありません。当社の事前の許可無く、本書を第三者へ交付することはご遠慮下さい。

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CRC 1876172 Exp. 08/22/2018