フラッシュ・レポート
EDGE:自動運転車
 
 

フラッシュ・レポート

EDGE:自動運転車

 

自動運転車はさまざまなセンサーや装置、そしてセントラル・コンピューターを利用して周囲の環境を「認識」し、運転プロセスを自動化することで、人間による操作無しでの走行を可能とします。自動運転車は移動手段のみならず、私たちの暮らしまで変える可能性を秘めています。

 

投資家にとっては、自動運転車の台頭が医療や保険、インターネット、インフラといった業界にまで影響を及ぼす可能性があります。例えば、自動運転車が普及するための主要な条件の一つとして優れた安全性があります。交通事故全体の90%以上は人為的ミスが原因です1。交通事故による年間死亡者数は米国で4万人、世界中で120万人にのぼりますが2 、運転を自動化すれば事故件数が大幅に減少するかもしれません。そして、自動車関連の死傷者が減れば、医療費支出が抑制され、損害保険料による収益も減少するでしょう。

自動運転は、専門分野に特化した機械学習を応用したものです。自動運転の最中に遭遇し得る状況は、非常に多くの要素が複雑に絡み合うため、プログラマーが特定のコードを書く従来の方法では対応できません。そこで採られるのが、LIDAR(レーザーを用いて周辺環境を3Dマッピングする装置)や各種レーダー、GPS、カメラで周囲の状況に関するデータを収集するという方法です。これらのデータは高度な多層ニューラル・ネットワーク(神経回路網)に読み込まれることで、アルゴリズムによるパターン検出が行われ、実用的な認識へと変換されます。それぞれに強み・弱みを持ち、それぞれ異なる環境で強みを発揮する多彩なセンサーを車のさまざまな箇所に配置することで、認識能力は向上します。必ずしも全データが等しく生成されるとは限りませんが、概してデータが多いほど周囲の状況をよく把握することができます。例えば、車両検知用の多層ニューラル・ネットワークにさまざまなパターンを学習させることで、センサーが所定の事象を感知した際に、前方に車両が存在することを認識するだけでなく、車間距離まで測定できるようになります。このようなデータをもとに歩行者から車線、他の車両まであらゆるものを認識する各種の多層ニューラル・ネットワーク、さらには、それらの多層ニューラル・ネットワークを統制して自動運転を可能にするためのアプリケーションもエンジニアは開発しています。例えば、高度な自動緊急ブレーキは、多層ニューラル・ネットワークが前方車両の急停止を検知することにより自動的にブレーキをかけるアプリケーションです。自動運転車に搭載されているセントラル・コンピューターにはこうしたアプリケーションが多数組み込まれており、どのようなアクションを取るべきかを最終的に判断します。

 

自動運転車が普及すれば、個人の移動という概念が変わるかもしれません。現在は、大多数の人々が自家用車を自分で運転して移動します。米国では家計に占める自家用車の所有・維持費の割合が住居費に次いで大きく、年間で平均8,700ドルに達しています3。これほど経費をかけているにもかかわらず、標準的な車の使用率は時間にしてわずか5%です4。いずれ消費者は、費用や手間をかけて自家用車を所有するよりも、ライド・シェアリング(ここでは、完全に自動化された車に相乗りすること)を好むようになるかもしれません。通常の相乗りでは運転手になることが唯一かつ最大の負担ですが、これが不要になれば、そして車両の稼働率が仮に10倍になれば、完全自動運転車は相乗りのコストを大幅に低減させ、関連市場の拡大をもたらす可能性があります。消費者は費用を節約できるばかりか、運転にかけていた時間を他の用途に回すこともできるでしょう。平均的なアメリカ人の通勤時間は1日に55分5ですが、自分で運転しなくなれば、車に乗っている時間を利用して睡眠不足を取り戻すことや、仕事をこなすこと、あるいはスマートフォンやタブレット端末を利用することもできるようになるため、こうしたサービスの関連市場も拡大する見込みです。さらに、自動運転車は都市の構造を変化させる可能性もあります。通常は車1台につき自宅・仕事・レジャーの3カ所で駐車スペースが必要ですが、今後、車の稼働率が上昇するとともに、遠隔操作で駐車できるようになれば、特に都市の中心部では駐車場の必要性が大幅に減少するでしょう。

 

現在、自動運転車の普及にあたっての最大の課題は、自転車やバス、車両等が入り混じって走行する公道で安全に走行するために必要な精度を実現することです。自動運転車の意思決定機能や運転機能は限りなく完璧に近いレベルでなければなりません。この高い基準を満たすには、あらゆる状況を想定した膨大なデータを自動運転車に学習させ、さまざまな安全性試験によって自動運転車が常に期待通りの性能を発揮できるかどうかを検証する必要があります。

 

一方、自動運転システムの安全性が確保されても、普及に至るまでには、規制環境という高いハードルを越えなければなりません。政府や規制当局は公道や高速道路での自動運転車の走行を許可するための枠組みを整備する必要があります。現時点では、規制プロセスが明確になっていない、あるいは整備されていない領域が少なくありません。また、事故が生じた場合の責任が自動運転車の所有者にあるのか、それとも自動運転システムの開発者にあるのかといった法的問題にも対処する必要があります。法廷弁護士の数や集団訴訟件数が多い米国では、他の地域よりも自動運転車の安全性や信頼性がより一層確立される必要があると考えられ、自動運転車の普及は相対的に遅れる可能性があります。

普及までにはいくつもの課題があるものの、自動運転技術はSFの領域から現実へと急速に進化しています。これから5年以内に、複数のOEMメーカーから自動運転車が市販されるはずです。最初のうちは、最適な市場や環境に限定して展開されるでしょう。例えば、規制の枠組みや責任の所在が明確に定義された市場からスタートするでしょうし、また、気候に恵まれた市場、すなわち雪や霧といった自動運転システムへの負荷がほとんどない地域において、気候の厳しい地域よりも先に自動運転車が発売されるでしょう。自動運転車が普及するまでの道のりは険しいものになりそうですが、最近生まれた子供たちが将来運転免許を一切必要としなくなるという未来も夢物語ではありません。

 
 
 
 
 
 
 
 

1.「The Relative Frequency of Unsafe Driving Acts (Background)」米国運輸省道路交通安全局、2017年8月15日
2.「2016 Was the Deadliest Year on American Roads in Nearly a Decade」フォーチュン誌2017年2月15日。「Road traffic injuries」世界保健機関、2017年8月16日
3.「Annual Cost to Own and Operate a Vehicle Falls to $8,698, Finds AAA」アメリカ自動車協会、2017年8月16日
4.「Today’s Cars Are Parked 95% of the Time」フォーチュン誌、2016年3月13日
5.「National Household Travel Survey Daily Travel Quick Facts」アメリカ合衆国運輸省、2017年8月16日

 

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CRC No. : 1899929

Exp. Date : 09/21/2018