フラッシュ・レポート
バフェット流グローバル株式運用
 
 

フラッシュ・レポート

バフェット流グローバル株式運用

 

長期投資のパイオニアであり強力な唱導者として名高いウォーレン・バフェット氏は多くの投資家に尊敬され、同氏の投資手法に倣おうとする投資家も少なくありません。しかしながら興味深いことに、機関投資家の資金を運用するロングオンリー株式マネージャーの中で、同氏の投資手法を忠実に再現しようとしている運用戦略はほとんど見当たりません。MSIMのグローバル・フランチャイズ運用戦略の運用責任者であるWilliam Lockが、本書においてその理由について考察します。さらに、彼のチームの運用戦略に、どのようにバフェット氏の投資哲学を組み入れているかを説明します。当運用戦略はグローバル株式運用戦略として長期に亘って優れた運用実績を達成しており、機関投資家・プロフェッショナル投資家に適したものと言えます。

 

バフェット氏の投資哲学の起源について、教えてください
WILLIAM LOCK
WL):まず忘れてならないのは、バフェット氏は唯一無二の存在だということです。バフェット氏は長年にわたり、同氏に魅了された幅広い人々に対し、自身の投資手法を惜しみなく説明してきました。本書では、我々がバフェット流投資手法をどう見ているかとそれに関連する考察について説明します。興味深いのは、バリュー投資の中核をなす投資哲学を打ち立てたのは、ベンジャミン・グレアム氏だということです。バフェット氏はグレアム氏の一番弟子です。グレアム氏のアプローチを実践に移したのがバフェット氏でした。グレアム氏のアプローチとは、株式を保有することは企業を所有することだと見なすべきで、投資家は財務ファンダメンタルズに基づいて事業の内在価値(intrinsic value)を試算し、そのうえで一定の安全余裕度(株価下落リスクの回避)を適用しなければならない、ということです。

バフェット氏はグレアム氏の投資哲学をどのように実践に移したのでしょうか
WL
:当初、バフェット氏は主に数量分析に基づくアプローチに従い、クオリティ企業かどうかにかかわらず、株価が割安に評価されていることを重視していました。そして、株価が内在価値に達すると売却するという手法をとっていました。実際のところ、グレアム/バフェット時代の初期には、内在価値の指標として主に純資産が用いられました。このアプローチの結果、1960年代にはバフェット氏は、パートナーシップの資産をすべて、当時は紡績業を営んでいたバークシャー・ハサウェイ1につぎ込む結果となりました。しかし最終的には、度重なるリストラを繰り返した後に、紡績事業はほとんどただ同然で売却されるに至りました。

その後の展開について教えてください
WL:バフェット氏はチャーリー・マンガー氏と出会い、投資アプロ―チを進化させていきました。フリー・キャッシュフローをはるかに重視するようになり、その結果、内在価値が実際に意味するところを再定義することになりました。バフェット氏はこのことを書著「オーナーズ・マニュアル(株主のためのマニュアル)」の中で、「内在価値とは、その企業が存続期間にわたって創出するキャッシュを、現在価値に引き直したものだ」と説明しています。これは我々の「内在価値」の定義でもあります。マンガー氏の投資スタイルの中核をなす理念は、容易に理解できる優れた企業を、理想的には内在価値に対して割安な価格で、もしそれができなければ適正価格で購入するというものです。マンガー、バフェットの両氏は投資に関する数々の名言を残しています。マンガー氏の最も有名な名言の1つ ――「素晴らしい企業を適正価格で購入する方が、まずまずの企業を素晴らしい価格で購入するよりも、はるかに望ましい」―― は、彼の投資アプローチを端的に表しています。

マンガー氏が言う「素晴らしい企業」とはどのような企業でしょうか
WL:簡単に言えば、成長性を有し、将来にわたって持続可能な高い投下資本利益率を生み出すことのできる企業のことです。

 

バフェット、マンガーの両氏の哲学は、両氏の保有銘柄にどのように反映されたのでしょうか
WL:60年代末から90年代まで、彼らは上場市場で素晴らしい企業を購入すると同時に、非公開企業でも、優秀な経営陣を擁する企業を購入してきました。彼らが達成しようとしたのは、そしてこのことも「オーナーズ・マニュアル」にまとめられていますが、1株当たりの本質的企業価値の年率平均「伸び率」を最大にすることです。ほとんどの長期株式投資家と比べて、バフェット氏は目標を達成するための手段をはるかに多く有しています。例えば、保険会社が持つレバレッジ効果を利用したり、非公開企業の投資機会を自由に追求したりすることが可能です。

バフェット氏のアプローチが直面している課題について説明してください
WL:1990年代以降、バフェット氏の投資スタイルは、優れたリターンを達成するための敵と自身が呼ぶ問題――運用資産規模の拡大――の影響を受けるようになりました。つまり、規模が拡大すればするほど、投資すべき資金が膨大になるため、優れたリターンを上げることが一層困難になる、ということです。バフェット氏が依然として多額の資金を投資してまずまずの安定したリターンを達成しているという事実は変わりませんが、この問題の結果として、高いリターンを生み出す企業という定義に対するバフェット氏のハードルが、引き下げられたように思われます。このことが、バフェット氏が公益事業や鉄道などのセクターの企業にまで投資対象を広げた理由を説明していると思われます。これらのセクターでは素晴らしい企業を発掘するのは容易ではありません。

バフェット氏には可能でも、機関投資家である株式運用者ができないことはなんでしょうか
WL:バフェット氏には制約が少ないということが挙げられると思います。例えば、バフェット氏やマンガー氏は、買収を通じて事業を直接所有するという投資手法を好みます。バフェット氏は非公開市場における取引を好みます。総じてそうした取引では、主要従業員や事業の所有者と長期的に心地よい共存共栄の関係を築くことと引き換えに、割安に企業を取得することができるからです。だからといって、公開企業が非公開企業よりも高値で買収されるわけではありません。バフェット氏はまた、自身のブランドが持つ力を十分に理解しており、「バフェット流」の投資を行います。つまり、その強大な影響力を駆使し、バフェット氏の投資会社であるバークシャー・ハサウェイにしか与えられない割安な価格で投資します。なおバークシャー・ハサウェイの本業は消滅しましたが、バフェット氏は社名を維持しました。バフェット氏およびマンガー氏の次の選択肢は、普通株式を通じて企業の一部を所有することで、通常は過半数株式を取得するか、少数持分を取得します。これに対して一般的には、機関投資家である株式運用者は、企業を直接所有したり過半数持ち分を取得したりすることはありません。

バフェット氏は投資を行う際、どのようにして資金を調達するのでしょうか
WL:バークシャー・ハサウェイには事業から得るキャッシュフローおよび手元キャッシュに加えて、2つの大きな資金源があります。繰延税金とフロートです。フロートとは、保険子会社が受け取る保険料収入のうち、保険金の支払いが生じるまで運用などに回せる資金のことです。スーパーカタストロフ(大惨事)保険引き受け、再保険事業、GEICO自動車保険ビジネスの成功を主因に、上記の2資金源は急成長し、昨年には合計1,510億ドルという巨額に達しています2

そのことは、ロングオンリー株式マネージャーと比較して、バフェット氏にどのような有利な点をもたらしているのでしょうか
WL
:バフェット氏は「オーナーズ・マニュアル」の中で次のように指摘しています。「・・・繰延税金とフロートは・・・借入のような効果を与えてくれる。つまり、投資にまわす資金をより多く獲得できる。その一方で、特段の欠点はない。」 このことはまた、このような保険事業のレバレッジを利用出来るだけでなく、「キャッシュ・ドラッグ」(現金保有によって投資効率が低下すること)によりパフォーマンスが悪化することを気にすることなく、優れた投資機会が出現するまで現金を持ったまま待つことができることを意味します。一般にロングオンリー株式マネージャーは、キャッシュを多く抱えることや、レバレッジを使用することは認められていません。また、バフェット氏が享受している、上記のような保険事業のレバレッジにアクセスすることさえも許されていません。

 

ロングオンリー株式マネージャーと比較して、バフェット氏にはそれ以外に有利な点はありますか
WL
:はい、あります。思い当たるのは2点です。1つは、究極的な長期投資家であることです。バフェット氏は辛抱強く購入の機会を探り、売却することには消極的です。バークシャー・ハサウェイのオーナー関連原則の13か条の1つは、「株価にかかわらず、バークシャーが保有している素晴らしい企業を売却することには、全く関心はない。また、少なくとも幾らかのキャッシュを生み出す見込みがあり、経営陣や労使関係に信頼がおける限り、最高の業績を上げていなくても、売却することには極めて消極的だ。」です。したがって、バークシャー・ハサウェイの投資家は、ポジションの流動性をさほど気にする必要はありません。年金基金のために資金運用を行っている株式マネージャーのほとんどは、十分な流動性を確保しています。年金基金で給付のための支払いが生じた時に、短期間でキャッシュを確保する必要があるからです。我々は、市場ストレスのシナリオにおける流動性特性について、顧客からしばしば質問を受けます。バフェット氏は通常、市場ストレス時に購入はするものの、売却を考えることはありません。

もう1つの有利な点は何ですか
WL
:何の制約もなしに、自身が望むとおりに投資できることです。バークシャー・ハサウェイを支配しているのはバフェット氏とマンガ―氏で、その経営戦略を決めるのも彼らです――素晴らしい企業を所有し、そうした企業を永久に所有し続け、贅沢にも十分な時間をかけて回収します。彼らは、短期主義という投資家の典型的なプレッシャーに囚われてはいないのです。彼らの成功は、競合他社、インデックス、前四半期、前年と比較したアウトパフォーマンスで評価されるものではありません。また、トラッキング・エラーやキャッシュ・ドラッグでマイナス評価されるわけでもありません。また、市場で巧みに動くことや、バークシャー・ハサウェイの投資家に高い流動性を提供することを求められているわけでもありません。

リスクについてはどうでしょうか
WL:バフェット氏は相対リスクではなく、絶対リスクに注意します。我々も同じです。絶対リスクに注意するということは、資金を損失するリスクに注意することを意味します。これに対して相対リスクに注意するということは、パフォーマンスの方向性にかかわらず、競合他社やインデックスをアンダーパフォームしないように努めることを意味します。そのためには結局、競合他社やインデックスから乖離せず同様の運用を行う必要があります。ジョン・メイナード・ケインズ氏がいみじくも言ったように、「健全な銀行家とは、予め危険を察知してそれを回避する銀行家ではない。大きな失敗をしてしまったとしても、他の銀行家と同様に従来型の方法をとったことで失敗する人であり、その場合には誰もその人を責めることはできない。」 厳しい世界の中で、相対リスクとトラッキング・エラーに焦点をあてることは、総じて「キャリアを危険にさらさないため」の処世術なのです。相対リスクに焦点をあてることは、道理に反した効果をもたらします。絶対ベースで元本の50%を喪失したとしても、競合他社と比較したトラッキング・エラーを極めて低く抑えられていれば、キャリアは恐らく安全です。しかしながら、損失ではなく“他と異なること”をリスクの基準とすることは、我々が考える真のリスクでは到底あり得ません。

バフェット氏はグローバル投資家なのでしょうか、それともホーム・バイアスがある(米国市場を重視している)のでしょうか
WL:先に述べたように、バフェット氏は大きな優位性を手にしています。米国内で上場企業とプライベート企業のどちらも購入することができるのです。仮にバフェット氏が米国の上場企業しか購入できないなら、クオリティの高い企業のユニバースはかなり小さくなり、恐らくは価格かクオリティのいずれかで妥協を強いられると思われます。バフェット氏はプライベート企業にも太い「パイプ」を有しているため、他の多くの投資家よりも幅広い企業に投資することが可能です。バフェット氏は海外市場にも注目しており、実際に投資もしていますが、結果は米国市場での成績と比べてややマチマチです。多くの投資家は、潜在的な投資機会を最大化するというグローバル投資のメリットに注目していますが、しかし実際に執行するのは難しいものです。特にその一因は、米国、EAFE、新興国という投資先地域の歴史的な「地域区分」や、差別化されたクオリティの高いグローバル株式運用戦略が少ないことにあります。

歴史的な地域区分や、ロングオンリー株式マネージャーがバフェット氏のように投資する上で直面する明白な問題に鑑み、バフェット流投資手法を実践するグローバル株式運用戦略は存在するのでしょうか
WL:バフェット流グローバル株式運用戦略に最も近いのが、「グローバル・フランチャイズ」と呼ぶ我々の運用戦略であると考えます。グローバル・フランチャイズ運用戦略は、20年ほど前に、かつての同僚がバフェットおよびマンガ―の両氏が米国の優良企業で行っていたのと同様の運用戦略を、グローバル・ベースで実践しようと考案したのが発端です。彼はグローバルにおいてさえも、素晴らしい企業はさほど多くないことを理解していたため、意図的に集中戦略型戦略として立ち上げました。そうした企業の中から、適正価格で取引されている企業を見つけることは、さらに難しくなります。

あなたのチームの運用手法と、バフェット氏やマンガー氏の投資スタイルとの相違点について、説明してください
WL:繰り返しになりますが、バフェット氏は唯一無二の存在ですし、マンガ―氏も然りです。彼らとの違いを強いて言うなら、何が素晴らしい企業かという点について、さらに厳格な定義を設けていることです。バフェット氏は優良企業について、長期にわたる成長が期待でき、レバレッジ効果後で高水準の株主資本利益率(ROE)を持続的に生み出すことのできる企業であると常々語っています。一方我々は、優良企業を、レバレッジ効果前の指標である投下資本利益率(「株主」資本利益率ではない)を持続的に高水準に維持する企業と定義しています。また、負債が少なく、売上利益率の変動性が低いことも、条件としています。

実際にはそのことは何を意味しているのでしょうか
WL:つまりバフェット氏は、我々が対象外としている上場株式を保有することも可能だということです。例えば、銀行の資本利益率は微々たるものです。このため我々がグローバル・フランチャイズ戦略で銀行を保有することはあり得ません。また同様の理由で、我々は公益事業(電力会社)株や鉄道株も保有しません。これらの企業のリターンは低く、往々にしてレバレッジがかかっており、資本集約度が高い(=創出するキャッシュの多くは恒久的に資本を必要とする固定資産に還流させる必要がある)ため、株主に還元したり事業の成長に向けたりする資本配分の選択の余地がほとんどありません。このことは最終的には、長期的に複利ベースで着実に高い成長を遂げていく(コンパウンディング)ための選択肢がますます限られることを意味します。

 

リスクについて先に触れられましたが⸺リスクに関する違いについて説明してください
WL:ほぼ間違いなく、我々はより大幅な安全余裕度を求めます。内在価値を評価する際、バフェット氏はキャッシュフローの割引率を決定するために、長期債利回りを使っているようです。バフェット氏は株式リスク・プレミアムを付加していないと思われます。長期的に見れば、偉大な企業は国債よりも安全性が高いと彼は考えているからです。何故なら、そうした企業は成長性と価格支配力を有しているからです。債券はこのどちらも持ちません。我々は原則としてこうした見方に同意しますが、実際には、株式リスク・プレミアムを使用しています。株式リスク・プレミアムは、バフェット氏が要求していると思われる以上の安全余裕度を内包しているからです。

チームがクオリティに対して極めて高いハードルを課していることは判りました。それではクオリティをどのように計測しているのでしょうか
WL:我々が求めているのは、持続的な高水準の投下資本利益率(ROOCE)であり、レバレッジに影響されない点が魅力です。グローバル・フランチャイズ運用戦略のROOCEは68.5%で、MSCIワールド・インデックスのほぼ4.5倍の水準です3。現時点で、グローバル・フランチャイズに匹敵するROOCEを上げているグローバル株式戦略は見当たりません。このことは、グローバル・フランチャイズ運用戦略は恐らく、世界的に見て最もクオリティの高いグローバル株式戦略の1つであることを示唆していると思われます。我々を特徴付けている指標はROOCEだけではありません。高い粗利益率は価格支配力の指標です。グローバル・フランチャイズ運用戦略の粗利益率は50%を超えており、MACIワールド・インデックスの粗利益率の2倍にあたります。前述のとおり、我々は負債が少ない企業を選好し、グローバル・フランチャイズ運用戦略のネット負債/ EBITDA比率がわずか0.3倍と低いことが、この点を例証しています。

国債は複利ベースでのリターンは低いにせよ、安全性はより高いのではないでしょうか。そうであれば、国債のリスク/リターンのほうが良いということにはなりませんか
WL:実際、年金基金ポートフォリオのリスクを低減するために使用されている、極めて割高な国債の一部を、グローバル・フランチャイズ運用戦略をはじめとするクオリティの高い株式戦略で置き換えることは、極めて魅力的な選択肢だと考えています。我々は、当運用戦略は長期的には債券を上回るパフォーマンスを上げる可能性が高いとみています。何故なら、債券が持っていない2つの重要な特性――価格支配力と成長力――を持っているからです。国債の問題点は、出発点となる利回りが現在極めて低いことです。日本、ドイツ、フランスを含む先進国9ヵ国では、10年債利回りが1%を割り込んでいます4。当面の間、金利は歴史的な低水準にとどまる可能性が高いでしょう。過去50年間の米10年債利回りの平均は6%超となっています。今年は25bpの利上げが3回実施される可能性がありますが、そのとおりに直接利回りが75bp上昇したとしても、依然として過去50年間の平均を1標準偏差下回るにとどまります。最後に、年金基金の母体企業のボラティリティが高まれば、グローバル・フランチャイズ運用戦略などのバフェット流アプローチをとることの合理性が一段と高まることは、注目に値します。

株式全体と比べて、なぜ今、クオリティ銘柄なのでしょうか
WL:投資タイミングを問題にされているようですが、我々は投資タイミングを測ることはしません。その必要がないからです。我々の哲学は非常に明快です。それは、長期にわたり魅力的なリターンを獲得するための最善の方法は、複利(コンパウンディング)効果に注目することと、元本の保全を図ることだということです。それを実現するための方法は、底堅く(買収等を含まない)本質的な成長に後押しされた、コンパウンディング効果が期待できる企業を購入することです。基本的に業績が景気サイクルによって支配されていなければ、企業は頑健性を確保できます。そして、適切な分野におけるマーケットリーダー的な地位や、開発力・広告宣伝力・販売促進力によって価格支配力を持つことによってのみ、本質的な成長が可能となります。

市場の大半は経済サイクルに支配されているのではないのですか
WL:その通りですが、“市場の大半”について懸念する必要はありません。我々は、世界で最もクオリティの高い企業を発掘しているのです。投資可能な企業は2,000以上ありますが、グローバル・フランチャイズ運用戦略で保有しているのはそのうち30社以下で、2000社に対して僅か1.5%ほどにすぎません。つまり、基準に適合しないために我々が保有しない企業が大半なのです。例えば、コモディティ(商品関連)企業が我々の投資基準を満たさないのは何故でしょう。第1に、通常、コモディティ企業は価格支配力を有していません。その理由として、価格が市場の需給によって決まることもありますが、さらに、イノベーションの機会がほとんどないことも挙げられます。新たな金、新たな原油、新たな水、新たな鉄鉱石などと言っても、通常はこれらは継続的に発生するものではありません。第2に、コモディティ企業は通常、その高い資本集約度により、高水準の投下資本利益率を生み出すことはありません。コモディティ企業は膨大な有形資産を有する必要があるため、通常はキャッシュの創出者ではなく、キャッシュの消費者になってしまうからです。キャッシュを持続的に生み出し増大させて、本質的に事業を発展させたり資本を株主に還元していくことができない限り、効率的にコンパウンディング効果を享受することは困難です。

量的緩和と積極的な金融政策を背景に、株式、とりわけ優良株は割高になっているのではないですか
WL:介入的金融政策の大きな影響として、あらゆる資産クラスにおいて資産価格に歪みが生じています。債券利回りを強制的に押し下げることを受けて至る所で利回りを追求する動きがみられ、バリュエーションの上昇を招いています。そして低金利に伴って、望ましくない副作用が生じています。具体的には、レバレッジの上昇、クレジット市場の流動性は潤沢だとの危険な幻想、さらには資産クラス間の相関の大幅な上昇などが挙げられます。例えば今や、金と金融株は反対方向にではなく同じ方向に動く傾向がしばしばみられます。結果として、収益は概ね足踏みしているにもかかわらず株価が上昇し、バリュエーションが上昇しています。中央銀行が経済や市場の運命をコントロールしているとの確信、あるいは神話にとらわれるあまり、投資家は今やファンダメンタルズに焦点を合わせるよりも、中央銀行が発するメッセージを追いかけています。その結果、ボラティリティが高まり、投資行動が一段と短期的になっています。我々は、金利や中央銀行の政策の方向性や、世間に広がるマクロ的なはやり言葉を解釈することに時間を費やしたりはしません。我々はそのようなことを投資基準にはしていません。我々が最も留意しているのは、投資の際に長期的な内在価値以上の価格を支払わない、ということです。我々が投資している企業は極めてクオリティが高く、ROOCEが市場全体の4倍超の水準にあることを考えると、バリュエーション・プレミアムがとても小さいことはまさに驚異的です。フリー・キャッシュフロー利回りはインデックスと比較して10%弱割高ですが5、歴史的な水準と比較しても割高とは程遠いと言えます。大切なのは、我々が投資先企業に求めるフリー・キャッシュフローは、景気循環の一時点で増幅されているものではなく、持続可能で成長を続けているフリー・キャッシュフローだということです。要するに、我々が保有している企業の現在のバリュエーションは、割安とは言えないものの、許容範囲にある水準だと考えています。

グローバル・フランチャイズ運用戦略に代表される、極めてクオリティの高いグローバル株式戦略への投資に関心を持っている年金基金に、どのようなアドバイスがありますか
WL:かなり長期の時間軸を持ち、忍耐強くあってください。そうでなければ、コンパウンディング効果のメリットを享受することはできません。当運用のような投資方針を制約なく遂行できる投資戦略を、長期間、辛抱強く維持する事が、全てなのです。明確で揺るぎない投資哲学と運用プロセスを持ち、保有企業を通じて素晴らしい企業とは何かを繰り返し明言し、実証するような運用戦略を選んでください。また、このような素晴らしい企業を評価し、内在価値と同じかそれを下回る価格で購入することができる運用戦略を選んでください。運用において完全に独立したチームが運用する運用戦略を選んでください。短期的に競合他社やインデックスを上回るパフォーマンスを達成することを目的とするのではなく、長期的に顧客の資産を増大させていくことを目標としているチームです。

 

1 本書はバフェット氏もしくはバークシャー・ハサウェイが投資しているいかなる企業についても、推奨することを目的とするものではありません。
2 出所:バークシャー・ハサウェイの株主向けレター(2016年2月27日)
3 出所:モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント、FactSet データは2016年12月31日現在。
4 Bloomberg、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント データは2017年1月13日現在

5 出所:モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント データは2016年12月31日現在。

本書は、インターナショナル・エクイティ運用チームが作成したレポートを、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント株式会社が翻訳したものです。本書と原文(英語版)の内容に相違がある場合には、原文が優先します。本書はグローバル・フランチャイズ運用戦略に関する情報提供を目的として作成したものであり、法令に基づく開示書類ではありません。本書は信頼できると判断した情報を元に、十分な注意を払い作成しておりますが、その正確性や完全性をお約束するものではありません。本書の内容は作成時点のものであり、将来予告なく変更されることもあります。本書中のグラフ、数値等は過去のものであり、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。また、特定の銘柄及び市場等全般の推奨や価格の上昇又は下落を示唆するものではありません。当社の事前の許可無く、本書を第三者へ交付することはご遠慮下さい。

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費用について
投資一任契約に基づいて直接投資をする場合の費用
投資顧問料率
25億円までの部分に対して 0.864%(税抜 0.800%)
25億円超50 億円までの部分に対して 0.810%(税抜 0.750%)
50億円超100 億円までの部分に対して 0.756%(税抜 0.700%)
100億円を超える部分に対して 0.702%(税抜 0.650%)
※ 表記の料率は年率表示です
※ 上記以外に投資一任契約に基づいて投資信託に投資する場合の報酬体系は上記と異なる場合があります
※ 契約資産の性質・運用方法等により、お客様と協議の上、最低受託額、受託額及び投資顧問料率を別途取り決めることがあります
※ 税込料率は法律に定められる税率が適用されます
また、投資一任契約に基づく組入資産の売買手数料、保管費用等をお客様にご負担いただきます。(当該手数料等につきましては、運用状況等により変動するため、事前に料率やその上限額等を表示することができません。)

最低受託金額
効率的な運用を実現するという観点から、個別口座の最低受託金額を50億円と設定しております。

《ご注意》
上記に記載している費用項目につきましては、一般的な投資一任契約を想定しております。受託資産の運用に係るリスクや費用については、投資一任契約を締結する際に、事前に契約締結前書面をご覧ください。

投資一任契約に基づいて投資信託に投資する場合の費用
組入れ予定の投資信託は、弊社がお客様と締結する投資一任契約に基づいて投資を行うための専用ファンドであり、当該目的での利用に限定しております。

投資顧問料率

一律0.81%(税抜0.75%)

組入れる投資信託で弊社が運用報酬を受領する場合、上記料率から控除して投資顧問報酬額を算出します。
• 組入れ予定の弊社設定投資信託から弊社が受領する運用報酬はございません。したがって、投資顧問報酬額は上記の年率0.75%(税抜)で計算されます。
• 表記の料率は年率表示です。
• 契約資産の性質・運用手法等により、お客様と協議の上、別途報酬額を取り決める場合があります。
• 税込料率は法律に定められる税率が適用されます。

投資信託にかかる費用
信託報酬 年率0.054%(税抜 年率0.05%)内、委託者報酬(運用報酬) ありません
信託財産留保(相当)額 基準価額に0.20%を乗じた額(解約時)
• 販売手数料はございません
• 当該投資信託に関する以下のその他の費用を、投資信託財産で間接的にご負担いただきます
- 組入有価証券を売買する際に生じる取引費用
- 外貨建資産の保管費用
- 信託事務の処理に要する諸費用
- 受託会社の立替えた立替金の利息
- 投資信託財産に関する租税
- 投資信託財産に係る監査報酬
- 法律顧問に対する報酬
- 投資信託約款および受益者に対する報告書の作成、印刷および交付に係る費用
- 公告および投資信託約款の変更および解約に関する書面の作成、印刷および交付に係る費用
- 投資信託振替制度に係る手数料および費用等

(上記その他の費用については、当該投資信託の運用状況等により変動するため、事前に料率やその上限額等を表示することができません)上記投資顧問報酬(0.75%)と上記投資信託の信託報酬(0.05%)の合計は、0.80%(年率、税抜)となります。

CRC 1715342 Exp. 02/22/2018